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ゲッベルスと私 (2016)

A GERMAN LIFE

監督
クリスティアン・クレーネス
フロリアン・ヴァイゲンザマー
ローラント・シュロットホーファー
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3.65 / 評価:71件

当事者の言葉の重み

  • enj******** さん
  • 2018年10月6日 2時14分
  • 閲覧数 477
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

今までのホロコーストに関する実話や物語と根本的に違う事実が、年齢を感じさせない記憶とはっきりした言葉で二時間にわたって紡がれていく。

話の段落ごとに当時の記録映像や、ゲッベルスの演説/語録、アメリカのプロパガンダ映像が挟み込まれ、彼女の少女時代から戦後ソ連に拘束されるまで、身の回りの出来事とともにドイツと言う国がどのように変化していったのかが一大叙事詩として描かれていく。

他と違うのは、その構成だけでなく、物語が被害者としてのユダヤ人の側でなく、犯罪者としてのナチ高官でもなく、彼女のようなドイツの一般人(ゲッベルスの秘書だが、政策に関与していないと明言している)からの視点で描かれていること。そして大衆を扇動して大虐殺をしたナチとその高官だけでなく「一緒に熱狂した」一般ドイツ人も同じように罪があると明言していることなどが、終戦時にヒトラーに全てをかぶせて、ナチそのものを封印することで批判を免れてきたドイツという国への明確なアンチテーゼとなっている。 終盤「私は悪くない。でもドイツ人全てが悪かったのであれば私もその一員」と言うセリフが全てを語っている。

終戦時にアメリカ主導で、「収容所のユダヤ人犠牲者の埋葬に一般人を立ち会わせて現実を見せつける」儀式があったことに驚き。 このときの一般人の顔が驚きと悲しみに満ちていることが「知らなかったでは許されない」ことを語っている。(この前後は映像が強烈なので免疫のない人が見ると映画の主題が見えなくなってしまうかも)

翻って日本の当時の状況を見ると、日露戦争が辛勝であったことを(売上至上主義で)完全勝利のように報じた新聞記事が遠因となって、日比谷焼打ち事件のような民衆の熱狂を引き起こし、負けたことを公表できなくなった新聞と、保身のために負けた報告ができない役人と、それに乗じた軍部の手柄争いによって「勝つか滅びるか」の選択肢しかない状態に民衆が自分で追い込んだのではないかとの思いが否定できない。

「軍が悪かった」「政府が悪かった」として熱狂しすぎた自身の反省をしない国民は、ヒトラーに全てを背負わせて世界の追及を逃れているドイツと変わりがない。

因みに、「ミッドウェー大勝利」と報じた新聞と、「慰安婦強制連行」を報じた新聞は戦前、戦後を通じて継続している同じA新聞であることを知る人はまだまだ一部だが、それこそ「知らなかったでは許されない」のではないか。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 知的
  • 切ない
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