ここから本文です

黒井戸殺し (2018)

  • みたいムービー 11
  • みたログ 116

3.56 / 評価:88件

コメディとしてなら

  • cyborg_she_loves_me さん
  • 2018年10月17日 15時12分
  • 閲覧数 1089
  • 役立ち度 3
    • 総合評価
    • ★★★★★

 アガサ・クリスティ原作、三谷幸喜・脚本、野村萬斎・主演という組み合わせで話題になった「オリエント急行殺人事件」に引き続き、同じ組み合わせで今度は「アクロイド殺し」を映像化したものです。

 この名前だけ見ると、「おおっ!」とか期待したくなるところですが、視聴率は、まあそこそこ、程度だったようですね。
 個人的推測ですが、同様の期待をもって「オリエント急行」を見て ガッカリした人が多かったんじゃないでしょうか。それで、作ってる側が盛り上がってるほどには、世間は今回はさほど期待してなかったっていうか。

 「オリエント急行」の方は確かに、野村萬斎さんの「おふざけキャラ」が、もう許しがたいレベルでストーリー全体から浮き上がっちゃってて、見るに耐えないものになっていました。

 それで今回は、その反省を生かしたってわけでしょうか、ストーリーの骨格はもちろんクリスティの原作を忠実に再現しながら、その肉付けの部分に大小さまざまな無数の笑いをつけくわえて、全体をコメディ仕立てにしています。
 これが、大成功していますね。これなら、野村萬斎さんのあのキャラは、浮き上がりません。よくマッチしています。

 出演者は、これ以上の顔ぶれは望めないってぐらい豪華ですが、中でも特にいい味出してるのが、斉藤由貴さん。
 NHKのドラマ「デザイナーベイビー」でも似たような感じの役で出ておられましたが、このすっとぼけたキャラの演技、好きだわー。ゲラゲラ笑わせてもらいました。
 この人、私はデビュー当時からのファンですが、年を重ねるごとにますます好きになりました。

 私はアガサ・クリスティーという人の作品、どれもこれも「だめ」なんです。
 なんか人間が出てきてる物語っていう気がしない。「数独」かなんかのパズル解かされてるみたいで、途中で「やーめた」って放り出したくなる。

 今回、三谷さんは、クリスティの推理小説特有の無味乾燥さをぬぐいさろうとして、できるだけ人間味ある演出を心がけたようですが、どれほど登場人物がすっとぼけてたり、愛らしかったり、不気味だったりしようと、骨格がクリスティである以上、所詮は人間ドラマにはなりません。

 まず人物の人間関係が説明され、殺人が起こり、ひとりひとりのアリバイが分単位で特定され、誰が見ても怪しそうな人物と、誰が見ても潔白そうな人物とが鮮明にわかるように設定された上で、徐々に新たな展開を加えていって、そういう見かけが崩れてゆく、……
 という、推理ドラマの「おきまり」の組み立てが、ジグソーのピースをはめていくように、きっちりと、正確に作られてゆく。
 その「作られた」感、不自然さには、どうしても違和感をぬぐえません。勝呂が真相解明のために使う証拠は、全部偶然に発見されたものです。そんなに都合のいい証拠ばかりが次々に探偵の手に入るもんかよ、みたいな。

 この綺麗に作られた世界に快感を感じる人がいるのは、わかります。それが「悪い」とは決して言いません。そういう人にとっては、これは見ごたえのある作品でしょう。
 私は、やっぱり「だめ」でした。
 だから、ストーリーの骨格の謎解きの部分は、適当に見流して、肉付けのコメディ仕立ての部分を楽しませてもらいました。
 そういう見方をしても、それなりに楽しめる作品だと思います。

 野村萬斎さんのあのキャラは、依然として好きじゃないですけどね。もうちょっと自然なボケができんものかなあ。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 未登録
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここま>
でです このページの先頭へ