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人魚の眠る家 (2018)

監督
堤幸彦
  • みたいムービー 970
  • みたログ 4,158

3.81 / 評価:3368件

感想に困るが、敢えて言うなら自分は否定派

  • dadadasteady さん
  • 2021年2月28日 21時18分
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

東野圭吾の原作ということも知らず鑑賞しました。

娘が事故で脳死状態になり、特殊な技術で体に電気を流し
運動を促し心臓だけでなく体全体を健康な状態に保つことを
決めた夫婦とそれに協力する人達が描かれており、根底には
『人の「死」は何をもって「死」なのか?』というテーマが
置かれています。

…とにかく重い。
フィクションでもやっぱりこういうのはキツいですね。
出演者の演技は皆さん上手いし、一貫したテーマもしっかりと
あって、且つ時折挿入されるその時々の季節に応じた街や風景の
描写も非常に綺麗です。

ただ…いろいろ言いたいことあります。

■この夫婦に思うこと
……凄く迷うんですが、こういうこと言ってはいけない
風潮があるのも重々承知なんですが、これは完全に親のエゴですよ。
夫婦側は
①まだ心臓が動いているから生きている。体も健康だ。
②いつか目覚めるかもしれないから。
…という2つの理由から目覚めない我が子に電気を当てて
体を動かしてはいるんだけど、それは「子供の為」から
いつの間にか「自分達がそうしたいから」というようにしか
見えなくなってくる。

妻の薫子が段々おかしくなっていく描写も、ケアで心身ともに
疲弊しているのは分かるけど、すぐそこで元気に動き回れている
弟の気持ちを汲み取らないのは親としてどうなんだろう。
娘も弟も、同じ自分の子供なのに。
弟が本当に可哀想で仕方がなかった。そりゃ反抗期になるよ。

娘に包丁をつきつけるなんて論外。やっぱり自分の意思や感情で
行動してきただけなんだ…と残念でした。
※娘を連れ回してたのが最後の絵の風景を探していたからだ…と 
 取って付けたように言われても、祖母に少しだけ看てもらってる 
 間に1人で探しに行けただろうし、旦那に頼むことも出来ただろうし。

旦那も旦那で、技術を勧めるのは良いけれども、ある程度の
期限を区切って
『出来るだけのことはやった、〇〇まで様子を見よう。』
『それでも駄目だったら、その時は受け入れような。』
って何故最初に言ってやれない?

途中で、人工的に表情筋を動かして無理やり笑顔を作らせた
あたりで我に返ったというのに、結局は止めさせることは
出来なかったし、中途半端。
____________________

あと何点か気になったところ。

■設定
旦那の社会的地位が高く、都合よく電気信号の技術に関わる
職に就いている…というのも少し出来すぎている気がしました。
鑑賞する我々一般庶民にとって一番ネックになる「費用」の
問題が簡単にクリア出来てしまうので、そこも共感しづらい
要因だったのかも?

■周辺住民の描写
これだけ多様化した世の中、ある程度理解はありますよ。
子供が学校でいじめられそうになることは実際にあるだろうけど、
あんなわざわざ振り返って蔑むような顔で見たりしませんよ。

■作風の統一感の無さ
ドラマとして感動させたい作風ではあるのに、合間合間に
ホラーやサスペンスっぽい描写があって統一感がなかった。
終盤の薫子が包丁を持ち出すあたりで『結局こういう結末なのか』
と思ってたけど、最終的にはやっぱり感動路線に戻していて、
どういうテンションで観ればいいのかやや戸惑った。

■ラスト
瑞穂が目を覚ますけど別れを告げてくる、あの夢オチの場面で
終わりで良かった気がします。
鑑賞側に委ねる結末は賛否あるでしょうが、結局脳死を受け入れる
ラストにしてしまうと…作品全体が「答え」を出してしまうことに
なるので脳死を死と認めない派の人達にとっては惨酷な気も。
(自分は脳死賛成派なので良かったんですが)

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作品のテーマ自体には否定的な感情しか湧きませんでしたが、
子役の演技が物凄く良いのと、その他出演されている俳優達の
演技力はさすがで、そこは観応えがありました。
最近の子役って凄いんですね。
瑞穂役の子、特に素晴らしい演技力でした。

いろいろ書きましたが一度観る分には十分価値があると思います。
ただ、二度鑑賞することは無いでしょう。
こういった作品で『死について考えさせられた』という感想も
多いですが、それもちょっと違う気がします。

自分もしくは家族に何かあった時、冷静に且つどういった判断を
下すかは、ある日突然考え始めるものではなく、常々自分の
経験と倫理観をもって作り上げていくべきものだと思うのです。

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