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ろくでなし (1934)

MAUVAISE GRAINE

監督
ビリー・ワイルダー
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4.00 / 評価:1件

ビリー・ワイルダーの監督デビュー作

  • rup***** さん
  • 2018年8月17日 0時07分
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  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

ユダヤ人であるビリー・ワイルダーが台頭するナチスから逃れるためフランスへと亡命し、その後渡米する前に初めて監督をした作品(共同監督としてアレクサンダー・エスウェイというハンガリー出身の監督がクレジットされているものの、実際にはワイルダーが単独で演出しているとのこと)。

日本では劇場未公開の作品で、原題を直訳した「悪い種子」の邦題で知られていましたが、マーヴィン・ルロイ監督の同名作品と間違われるのを避けたのか、DVDのタイトルは「ろくでなし」となっています。

医者の息子アンリ(ピエール・ミンガン)は、車を乗り回して女性を口説き、毎日遊び暮らしているのを見かねた父親から車のキーを取り上げられてしまう。
ナンパした女性との待ち合わせ時間が迫って焦ったアンリは、出来心でキーをつけたまま路駐している車を盗んでしまいます。
その一部始終を自動車窃盗団の一味が見ていて、アンリは彼らがアジトにしている自動車修理工場に連れて行かれ、縄張り荒らしをするなと脅されるものの、窃盗団に興味を抱いたアンリは、一味に加わって自動車窃盗に手を染めていくことに。

窃盗団の紅一点となるジャネットを演じているのがスクリーンデビューして数年しか経っていない頃のダニエル・ダリューですが、16才くらいなので、まだ少女っぽさも感じられるほど若い!

ジャネットは、「黄金の七人」のロッサナ・ポデスタのような役目を担っていて、彼女が車の持ち主(その大半が鼻の下を伸ばした中年親父)の気を惹いている隙に、ほかの仲間たちが車を盗んでしまう作戦の囮要員として活躍。
小悪魔的な雰囲気はそれほど感じられないんですけど、キュートな魅力が出ていますし、遊泳場で遊ぶ場面で着ている水着なんかも当時としては結構大胆なデザインで目を惹かれてしまいました。

ジャネットの弟のジャン(レイモンド・ガレ)も窃盗団の一員で、他人のネクタイを盗んでコレクションを増やすことに夢中になっている風変わりな若者。終盤においてストーリー上重要な存在になってきます。

アンリが人望を集めて組織内で次第に幅を利かせるようになっていくのが面白くない窃盗団のボスは、車軸に亀裂が入っていることを知らせずにその欠陥車をマルセイユへ運搬するようアンリに命じ、ジャネットも同乗して出発。
途中警察の検問に出くわして盗難車であることがばれてしまい、カーチェイスとなった結果、コントロールを失って池へ。
何とか窮地を切り抜けたものの、車の故障に不審を抱くアンリとジャネット。2人の間にはロマンスが生まれて、窃盗団から足を洗い外国へ行こうと考え始めるのですが・・・。

終盤は、フランス映画らしくペシミスティックな要素を入れつつも、若者の明るい未来を願うような締めくくり方になっています。

本作のワイルダーは、ハリウッドへ行ってからの脚本と台詞を重視した作風とは異なり、映像で語る演出が多いのが特徴的。
例えば、ジャネットがターゲットを引っ掛ける場面では、歩道を歩いているジャネットと彼女に声を掛ける車に乗った男をロングショットで映していて、彼らの前を一台の馬車が通りすぎてしまうと、次の瞬間には既にジャネットがその男の車に乗り込んでいるといった具合に、余計な台詞を省略した演出が冴えています。
ワイルダーの師となるエルンスト・ルビッチと出会う前の方がルビッチっぽい演出をしているのが興味深いところです。

カメラを車の後部座席に据えての臨場感溢れる撮影や、遊泳場で遊ぶ若者たちの姿を生き生きと描き出している映像も瑞々しさが感じられて、粗削りながら惹かれる点が多々ある作品となっています。

詳細評価

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