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生きてるだけで、愛。 (2018)

監督
関根光才
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3.57 / 評価:553件

いままでの自分を再度見つめ直す話

  • yab***** さん
  • 2019年9月8日 16時14分
  • 閲覧数 1695
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

本作は、ウツで無職の寧子と、自分の気持ちに忠実すぎる雑誌記者の津奈木の生態を描いた作品に観られがちだ。奇妙な愛のカタチとでも言ったほうがいいのだろうか。そこに格差社会とかも見え隠れするという眼で見られがちだ。
 だが、明らかにその観点は間違っている。ウツとか生き方が下手とかは関係ない。根源的な人と人との自我のぶつけ合いについて、超真面目に言及している。それは趣里の魂を揺さぶる演技によって、見事に証明される。 

 喫茶店のバイトから逃げ出してしまった寧子。意にそぐわない雑誌の記事の執筆を断ってクビになった津奈木。夜の静寂(しじま)で、今までの思いを津奈木にぶつける寧子。

 なんであなたはごめんってすぐ言うの? 何のためのごめんなの。あんたの選んでいる言葉って、あんたの気持ちじゃなくって、あたしを納得するための言葉でしょ。とりあえずうなずくんじゃなくって、私と同じだけエネルギー使って、疲れてほしいの。

 彼女の言葉は、けっしてウツの躁状態の言葉なんかではない。男と女、いや人と人との真のつながりについて語っている。痛いところをつかれている。ハッとさせられる。それは、僕たちが、ごめん、すいませんのひとことで、自分なり相手の本当の気持ちを、無意識のうちにどこかにうっちゃってしまっているから。そうして、ごまかしている自分が、一気にその正体をひっぺがされるから。

 喫茶店の人たちはすごく優しい。自分も弱ってるからそれが泣ける。でもどこか違う。
 それって、実は彼女だけではなく、誰しもが薄々気がつくこと。彼女は人一倍敏感だから、それに一早く気がついてしまっただけ。
 そうやって人はやり過ごしながら生きているんだけどね。そのほうが楽だから。でも、それをやり過ごせないのが彼女。

 とても狭い空間で、とても狭いふたりの世界のような話だけど、実は全然そんなものではない。。もっと広大な人と人とのコミュニケーションの話。まっとうなコミュニケーションとやらを取ろうとするあまり、大切な何かをすっかり忘れてしまった自分。いつも謝って真剣に対峙しようとしない自分。
 そんなどうしようもない自分を、再度見つめ直す話にもっていった、関根光才の脚本が光る。

詳細評価

物語
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