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4.0点
ダーフェンの絵画村に行ってから、この映画を観た。知らずに観るのとは違うだろう。ダーフェンは中国広東省・深圳市の一画の地域を指す。地下鉄で中心部から20分ほど。駅前にはスタバやウォールマートもある、深圳では一般的な住宅地だ。 駅から歩くこと10分、絵画村の場所はすぐわかる。画廊というよりは、絵を売る工場に近い。各店の規模は小さいが、模写絵画を大量に生産、販売している。オリジナルもあるが少ない。面白いのは、模写絵画のジャンルはかなり限られていて、中でもゴッホの作品は人気が高い。お国柄か、裸体画は全くない。時には毛沢東や共産党幹部の肖像画も売られているのはご愛敬。 彼らは芸術家ではない。仕事として模写した絵を販売しているのだ。だから分業で描くこともできる。果たして芸術家になりたいのか。芸術家としてオリジナルの絵画を残して、認められたい気持ちも理解できる。しかし、それで生活できるのかと言えば、答えは「否」だ。 自分が手にした金額の8倍で売られているというのも、何だか考えさせられる。ダーフェンの中心部には美術館もあり、画家(芸術家)を養成したいのだろうという雰囲気はあった。ダーフェンが発展し、著名な芸術家が輩出される、パリで言うモンマルトルのような街になれるかどうかは、誰にも分からない。 彼らは決して貧しさゆえに模写しているのではない、ただ生活するために描いているのだとだけは言える。
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