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マスカレード・ホテル (2018)

監督
鈴木雅之
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3.96 / 評価:7,833件

罪悪感欠如の接遇倫理と誇張モブ誘導は微妙

  • dr.hawk さん
  • 2019年1月20日 9時12分
  • 閲覧数 5527
  • 役立ち度 140
    • 総合評価
    • ★★★★★

2019.1.19 イオンシネマ京都桂川


2019年の日本映画
東野圭吾原作の同名小説(2011年、集英社)の実写化作品
潜入捜査をする刑事と、その教育係に任命されたホテルクラークのバディ映画
監督は鈴木雅之
脚本は岡田道尚


物語は都内で連続殺人事件が勃発しているところから紡がれる
犯行現場に残された謎のメモ
それはコンマで区切られた10桁を超える数字の羅列で、次の犯行現場を指定しているとされていた
次なるターゲットは、都内有数の一流ホテル・コルテシア東京だった
(文字制限のため、あらすじは省略)


そこで潜入捜査をすることになる刑事の新田(木村拓哉)と、その教育係のクラーク山岸(長澤まさみ)

新田は不慣れな接客と、犯人を見る目つきで来客を見てしまう
山岸は「ルールはお客様がつくる」と言った真面目な気質で、ふたりはまさに水と油の関係だった


物語は不可解で容疑者特定に至らない中で潜入捜査を開始し、その中でお互いの職業倫理の激突が起こる

ミステリー映画ではあるが、実質は刑事新田とホテルマン山岸の固定概念が剥がれていくバディ映画であった


この事件の発生詳細は映画を観ていただくとして、この映画では「誇張された客」との接遇によって、新田と山岸それぞれの過去、仕事観、職業倫理が剥がされていき、それぞれが初見で被っていたマスカレードを脱いでいくという流れになっている

新田の物語上の欲求は「犯人を捕まえる」であり、過去譚から紐解かれる動機は「誰かがやらなければならない仕事」「市民の安全を守る」と言った「使命感」による職業選択であったことが告げられる

一方の山岸はの物語上の欲求は「お客様に尽くし、安全を守る」であり、「ルールはお客様がつくる」という教えの元に展開される
彼女の職業選択は「過去に助けてもらった」という恩義と尊敬、憧憬によるものである


接客業についた人間なら山岸側の考えも理解できるし、それが行き過ぎているように感じる新田の感覚も理解できる

だが山岸の職業倫理は対象者の感情を歪め事件を生み出したことに相違はなく、その根幹にあるのが本作の主題である「潜在」であると言える

新田にとって守るべき者は瞬間的に変わるため、対象者は市民全員である
無論、容疑者=市民であることから「潜在被害者」「潜在被疑者」の観点で市民を監視しなくてはならない

その対象は「眼に映るものすべて」である
だからこそ彼の目つきは鋭く、観察眼が優れているのであり、それは言わば性悪説的な視点を持つ


対する山岸は性善説的な視点でお客様を見ているのだが、それは「ホテルのお客様である」という前提が必要である
彼女が「ホテルの外では何もできない」というのは当たり前の話で、顧客サービスである以上、対価の発生しないサービスはありえない

だが「お客様には段階がある」という考え方からすれば、彼女の行為は罰を受けるべき対象となり得る

それは「潜在客」という存在を蔑ろにしてしまうからである

彼女が顧客情報の観点から情報を出さないまでは理解できても、未然の事故を防ぐために「顧客に偽りの情報を流して拒否する」というのはあってはならない

これは言わば「お客様=ホテル利用者=サービス対象者」以外には無感情であり、かつ「お客様優先主義」の為ならば「潜在客」を人として扱わないと同意に近いものであった


このエピソードが事件の根幹であり、これによって「山岸はどう変化するのか?」

これがこの物語の特異点であるはずなのだが、ホテル側はこの行為を正しいと考えている

逆恨みとは言え、人命に関わったエピソードを断罪するのは、少々誇張が過ぎるのではないだろうか


ヒューマンドラマとしての質は「山岸の変化不足」によって物足りず、ミステリー部分は「出落ち」に近いので微妙

豪華キャストと銘を打つと大体は物語は微妙になるのは様式美のようにも感じる

2時間ドラマ的なテイストで「犯人が動機を喋りたおす」「誇張されたモブ容疑者の羅列」「これ見ようがしに写すアイテム」など、とても映画としての質が保たれているとは思えない

テレビ局製作の映画なので期待はしていなかったが、ため息交じりの鑑賞になる人は多いのではないだろうか


いずれにせよ、刑事バディものとして連続テレビドラマならば視聴に耐え得る質を「豪華キャスト」だけで無駄に金を掛けただけのレベルでは観客の口コミは期待できない

今更ながら「マスカレード」というタイトルで「変装」というトリックは昭和臭がするぐらい手垢がついているし、「闇サイト」でなんでもできる犯人設定も見苦しい

原作の小説は未読ではあるが、登場人物の画を想像で補完する分、クオリティは保たれていると思うが、映像にすると陳腐になるのは伝統芸なのだろうか

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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