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ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー (2017)

REBEL IN THE RYE

監督
ダニー・ストロング
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3.63 / 評価:198件

無垢を失わんとする美しい心。

良作。観ておいてよかった。
反逆児という邦題だけど、映画を観た感じでは、個人的には反乱のほうがしっくりくるかな。REBELという単語が気になったので、劇中でも扱われていた、サリンジャー自身の分身はじめましたシリーズ処女作的存在?の「マディソン・アヴェニューのはずれでのささいな抵抗」の原題を調べてみたら、"Slight Rebellion off Madison"だった。「ライ麦畑でつかまえて」は中学時代に読んでピンとこず、読んだという実績だけでなんとなくエッヘンな気分になっていたポンコツ中二病という程度で、何に対しての反乱、抵抗だったのかな?とか考えてた、ってこの書き出し無駄でしかない。

父、社交界、出版界、女優、チャップリン、そして戦争。戦争を知らない人、知ろうとしない人、軽々しく戦争と口にする人。この苦悩を「誰でもある」と団体様扱いする医師、ホールデンを崇め奉る狂信的な読者。これらはすべて、心の安定の邪魔であり、取り除くものとして抵抗し、隠遁生活を送る理由となっていく。

裏切りや悲惨な体験の連続や、成功と苦悩が表裏一体に積み重なっていく展開は身につまされるものが、、「どうして俺のことを知ってたんだ?」って聞いてきた狂信的な読者にも胸が痛くなる。ミスチルの曲聴いて「おい桜井さんはなんで俺の人生を知ってるんだ?」って思ったことある人なら分かるやつ。社会の片隅のエッジぎりぎりに這いつくばってる若者の心を掬い取る作家って凄いな。

サリンジャーは一方で、綺麗なものに目がない。一方でというか、美しいものを真正面から受け止める無垢な心の持ち主。
学校新聞のインタビュアーへの接し方もそうだし(結果、裏切られてキレる)、2人目の妻クレアのそれはもう美しいことったらない!ルーシー・ボイントン出てるって知らなかったからラッキーサプライズ!いま一番輝いてる女優さんではなかろうか。静かで緑溢れるニューハンプシャーでの仲睦まじい暮らしぶり、短い描写だったけどルーシーが美しく溶け込んでいた。

そして何が美しいって終盤、頼まれてストーリー誌に寄稿した序文。殻に閉じこもっていくサリンジャーの、内面には無垢なる美しい心が生きてるの分かるシーン良かったなあ。寄稿文の相手であるケビン・スペイシーがやはり上手い。出来る人よりも、ちょっと情けないとこやヘンタイ役のほうが彼生きてくるなあ。他意はありません、本当にそう思う。

最後になってしまったけど、観るきっかけは彼でした。若手男優の大注目株としてずっと追っていきたいニコラス・ホルト。孤独の中で言葉が溢れ出し、時には素直にアドバイスを求めたりして、無垢を失わんと抵抗する若者を大好演。

後々の大事件や、戦争中にヘミングウェイに会ったエピソードとか使わなかったのも好感持てる。

今こそ「ライ麦畑でつかまえて」再読します。

詳細評価

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