レビュー一覧に戻る
翔んで埼玉
2019年2月22日公開

翔んで埼玉

1062019年2月22日公開

nor********

5.0

島崎遥香に共感する人間は自分の価値観を疑うべし

これは人類史に残る傑作である。 世界中に蔓延る様々な差別やイジメの問題は全てこの作品に集約されている。 呼吸するかのように自然に他者を見下す人々は認識されやすい。 しかし無意識のうちに差別を助長している被差別集団の思考や行動は見逃されやすい。この作品はそれをコミカルに描いているが、現実は笑い話ではない。 差別やイジメは加害者が絶対悪ではない。 『黒い皮膚、白い仮面』という白人の皮を被った黒人の差別意識を掘り起こした名著を彷彿させる。 島崎遥香の役柄は、一見唯一のまともな登場人物に思える。しかし最もやっかいなのがこの種の人間たちである。 埼玉人達は埼玉であることの誇りを取り戻したのに、埼玉人の島崎遥香は最初から最後まで埼玉を見下し続けていた。これこそが多くの差別やイジメに潜む根元的な問題である。それは更に弱いものを探して自分の復讐心を満たす。 この世界は島崎遥香のような愚かで醜い人間に満ちあふれている。自分は良い人間だと信じている悪人が一番厄介なそんざいである。そんな深い社会問題をコメディタッチで揶揄する痛快さは日本版サウスパークと言える。

閲覧数1,225