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ヘレディタリー/継承 (2018)

HEREDITARY

監督
アリ・アスター
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  • みたログ 1,741

3.19 / 評価:1381件

全体の考察はできるけど基本ビビらせるだけ

  • cal******** さん
  • 2021年2月26日 0時36分
  • 閲覧数 910
  • 役立ち度 9
    • 総合評価
    • ★★★★★

カメラの移動に合わせて急に何かが飛び出してくるのでは…とビックリさせられそうな気配に恐る恐る見るというだけで、見終わった後の、現実にも…ほら、そのカーテンの後ろに…みたいな後に残る恐怖という物は一切感じなかった。


結局、悪魔の話はキリスト教圏の人間とそれ以外ではかなり受け止め方に差があるのだと思う。
日本人は最初からいる神の敵、悪魔という物にはほぼ恐怖しない。
貧乏神からトイレにまで神様がいる国であり、神が救ってくれるわけではなく「触らぬ神に祟りなし」の一歩間違えると神様に祟られる宗教観。

悪魔とは、デーモンカッケーとアニメやゲームで味方につけてしまうようなフランクさでお付き合いしている。

むしろ、悪魔崇拝側の立場になれば、悪魔が召喚できたことは恐怖なのかと言えばむしろハッピーなのでは?とも取れるので、神も仏も地獄の閻魔大王も、自然も全部人智を超えると信仰の対象になる多神教国家の日本人には、そうなると怖い怖くないを通り越して、マイノリティが頑張った結果実を結んだとも見えるのが少し面白い。



さて、映画の解釈についてだけど、まず、字幕と日本語吹き替えが結構違っているので、それによっても印象が変わるしちゃんと見れたか怪しいと思ったことを先に書いておきたい。(自分は日本語吹き替えで、日本語字幕を表示させて見ました。)

物語は祖母のリーが悪魔崇拝者で、孫を使って悪魔を召喚しようとするお話に見えるが、実は祖母がリーダーの悪魔崇拝結社が皆で協力して長男ピーターを悪魔化しようという大計画を完遂するまでの話。

計画実行のトリガーは祖母リーの死。
映画の一番最初、リーの死と葬儀について知らせる冒頭の説明のような文字は、悪魔崇拝者へ向けられた連絡事項なのだと思う。
なので葬儀の日時や場所のみならず家族構成まで詳細に語られる。

ここから要所要所に不審な人物が見え隠れする物語が始まる。

例えば、ピーターが自室でマリファナを吸うシーンでの外にも誰かの白い息が上がるなど、この一家は悪魔結社によってミニチュアを覗くように監視されている。

冒頭の葬儀、チャーリーがチョコを食べている時に「ナッツは?」「エピペン注射が無い」という会話でチャーリーはナッツのアレルギーか何かだと分かるが、チョコ好きのチャーリーを連れて行ったパーティーではナッツを刻んでたっぷりチョコケーキに入れている。

チャーリーが電柱にぶつかってしまうのは紋章の悪魔の力かもしれないが、そもそもの息が詰まるのは意図的な仕込みによるアレルギー。


ポイントになるのは崇拝している悪魔がパイモンという頭が女性で体が男性という悪魔であることと、タイトルのへレディタリーの意味だと思う。

パイモンは召喚者に地位を与え、人を召喚者に従わせる力を持つ。
つまり、祖母のリーは実は既に召喚には成功し、自身の長男チャールズに入れている。おそらく餓死した旦那が生贄。
だから悪魔崇拝結社の王妃という地位を手に入れ、従えることができた。
この映画での暗躍はリーの指示によるもの

この一家の女性は皆何かしら精神的な病を持っているが、これは悪魔が代々女性の頭に宿っている。パイモンの頭が女性と言う部分とリンクしている。
一方男性の方は悪魔を体内に入れられることでおかしくなるのであってそれまでは普通。

この一家の血筋で女性の精神に宿った悪魔を男性の肉体に入れることで初めてパイモンが完成する。

ラスト、ピーターにチャーリーと呼びかけるのは、2階から落ちた段階でピーターは死亡しており、チャーリーに宿った光の玉がピーターの心臓に入ることでチャーリーの精神がピーターの肉体で復活した。
頭(精神)は女性のチャーリーで肉体が男性の完成。
祖母がチャーリーに「男になれ」と言っていたのはこういうこと。
光もちゃんとピーターの心臓部に入っている。

ピーターの体へ光の玉が来たのは二階でアニーの首と体が離れてドンと音がした直後。
女性の頭と体が切り離されることで精神と肉体が分離して次の器へ光がやってくる。
なので祖母の墓も暴いて首を切る必要があった。


タイトルのヘレディタリーとは世襲、遺伝と言う意味で、これは悪魔を召喚する運命の世襲なのだと思う。
アニーも無意識のうちになんとかパーティーにチャーリーを行かせようとしたり、夢遊病中に墓を暴いたりと必要なことを知らず知らずのうちにしている。


冒頭、ミニチュアの部屋にズームしていきそこから現実の部屋へと繋がる。
そしてラストは急にミニチュアのようになって終わる。
つまり、この映画のこれまで全部ミニチュアの中のお話。フィクションですよと言うことと同時に、全部ミニチュアのように客観的事実の再現なので変えようのない決まっている運命論のようにも思える。

そしてラストの部屋の外が真っ黒なのも意味深だなと思う。

詳細評価

物語
配役
演出
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音楽

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