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ヘレディタリー/継承 (2018)

HEREDITARY

監督
アリ・アスター
  • みたいムービー 262
  • みたログ 1,777

3.19 / 評価:1402件

結局ラストなんて受け手次第ってことよ

  • 雉間 さん
  • 2021年10月13日 18時01分
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

今日は一日雨。何となくでわかる。
屋根に当たる雨の音がぼくには不気味に思えていた。
いいかげん天井照明の電球が切れて3日が経つ。借りる時は2人にしては狭いと思っていた部屋も今のぼくには広過ぎる。明日こそは電球を付けよう。当初こそ思っていたその考えも廊下の照明を点けることでそれは薄れ、代わりに暗闇の中天井に縄を吊るすことで落ち着いた。
思えばこの時からぼくは何かに取り憑かれていたのかもしれない。

部屋の壁にかかる日めくりカレンダーは丁度ひと月前の9日を示す。それは愛する彼女と好きな仕事を同時になくした日でもある。いいかげんに飲み転がしたテーブルの上のお酒の空き缶が物語るのは、この部屋に閉じ込もってから経過した嫌な時間だけ。
なのに片付ける気も湧かない。

昼夜問わず瞬くテレビのモニターから流れる冴えないホラー映画。ぼくは冴えない頭でそれを見ていた。時計もなくカーテンを締め切った部屋では今が何時かもわからない。ただ冒頭に現れた映画のタイトルはなんとかの継承とかそんな感じだったと思う。

いつまでも覚醒しない頭で眺めていたぼくだっがあるシーンで心の中の何かがざわめきだした。

それは死んだ娘と交信するため母親が降霊術を試みるシーン。故人の形見とロウソクとペンとノート、それから呪文。必要としたのはそれだけだった。

その映像を見たぼくは内心でまさかを繰り返した。
まさかあれで霊と話せるのか。
まさかあれで霊と語れるのか。
まさかあれで霊と会えるのか。
もちろんそれは映画だと、作り物だと、嘘だとわかっていた。
しかしながら劇中では当然のようにノートの上をペンが走る。
途端、ぼくは居ても立っても居られなくなった。飛びつくように部屋中から必要な道具を掻き集めた。ペンにノートにロウソク、彼女の遺品ならなんでもあった。キッチンのカセットコンロでロウソクに火をつけ、暗闇の中、ぼくはテーブルの上の空き缶を薙ぎ払い彼女のヘアピンとそれを置いた。

テレビから流れた呪文はどこの言語かも知らないけどもう一生忘れない。
もう一度会えるなら。
もう一度話せるなら。
もう一度繋がれるなら。
彼女からの助言があるだけで、ぼくはすぐにでも立ち直れる。ただ今は踏み出す決心が欲しいだけ。彼女の思いが知れたなら、明日から仕事だって探すし天井の縄も床の空き缶だって片付ける。
だから何かぼくにアドバイスを……。
その一心でぼくは耳にした呪文を口にした。
何度も。何度も。何度も。

そうして。
やがて闇の中、ペンは文字を書いた。

「今のあなたは嫌いです。早く片付けてください」

【ひと言】
ぼくは天井にかかったロープに手を掛けた。

【参考】
★★★★★…すごく面白い。
数年後にもう一度見たくなる。オチ、ストーリーがわかっていても見たくなるレベル。
★★★★☆…面白い。
良い時間を過ごしたなと思える。友達におすすめできるレベル。
★★★☆☆…普通。
悪くはない。が、2度はない。一度見れば満足。それでも映画として十分お金が払えるレベル。
★★☆☆☆…つまらない。
劇場に行って後悔する。無料なら見る。ながら作業で見るレベル。
★☆☆☆☆…すごくつまらない。
時間の無駄。無料でも見ない。お金をもらって見るレベル。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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