ご陽気が値打ち。
- Kainage_Mondo さん
- 2018年12月23日 17時50分
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- 役立ち度 4
- 総合評価
深刻に描こうと思えば 幾らでも描けたと思う。宇宙ステーションの危機的状況しかり、キューバ庶民の経済的困窮しかり、だ。にも拘わらず作品全体に漂うご陽気なムードは、なにも舞台がキューバだから、ばかりではない。細かい演出上の技があったのだろう。
偶然にも無線交信することになった大学教授の セルジオ ( トマス・カオ 以下敬称略 ) と ミール にとり残された宇宙飛行士 セルゲイ ( エクトル・ノアス ) の2人なのだが、友情を育みつつ難局を乗り切ろうとする ある種 バディムービー になっている所が面白い。映画はそれを本筋としながらも、周囲にあれこれ楽しい工夫を鏤めてくれていた。
何とかして収入を得ようとする内職は、葉巻のラベル貼りに始まって違法な領域にまで踏み込む始末。隣人が亡命用の小舟を手造りして売り捌いているのも傑作だった。無線交信を傍受して分析し セルジオ の首根っこを掴もうとする木っ端役人のおっさんは、頻繁に登場してコメディリリーフ的な役割を担ったが少々うるさく、68年「 2001年 宇宙の旅 」 に音楽的なオマージュを捧げるシーンでシュールな活躍をしてくれたので、まぁ~許してやろうか、と云う気になった ( 笑) 。
宇宙ステーション・ミールが登場する宇宙シーンはそれなりに手間が掛かっていて、広大な宇宙の清々しさを感じたが、本作の着地たる セルゲイ の帰還に至るプロセスは意外に早足のあっさり描写で、NASA が具体的にどう絡んだのかも判然しなかった。コカ・コーラを飲んで見せて資金を稼ぐ、如何にも資本主義的なシーンは微笑ましかったけれどね。
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