解り合えるということ
- 一人旅 さん
- 2019年4月27日 7時58分
- 役立ち度 5
- 総合評価
エルネスト・ダラナス・セラーノ監督作。
宇宙ステーションに取り残されたソ連人飛行士とキューバ人の男の交流と友情を描いたコメディ。
スペイン/キューバ合作の異色コメディ。1991年、ソ連が崩壊したため宇宙ステーションから帰還できなくなったソ連人宇宙飛行士:セルゲイと、彼の無線を傍受したキューバ人大学教授:セルジオの友情と救出劇を描いたもの。
共産主義が限界を迎え崩壊したソ連と、それに伴い経済危機に陥ったキューバ。ソ連の崩壊が原因で宇宙に“取り残された”セルゲイは、ソ連という共産主義の親玉を失い“取り残された”キューバの状況と重なります。同じ取り残された者同士のセルジオとセルゲイ。二人は無線をきっかけに秘かな交流を重ね、やがてセルゲイを地球に帰還させるためのセルジオの奇策が映画のクライマックスとして描かれていきます。
そして本作は、“個人と国家”の関係性を明白にしています。セルゲイと無線で遣り取りするセルジオは、秘密警察に反逆者だと疑われ監視の対象となりますし、セルジオと旧知の仲である無線仲間のアメリカ人:ピーター(演じるは怪優ロン・パールマン)もまた情報機関からセルジオとの関係性を問いただされます。純粋な友情で結ばれてゆくセルジオ&セルゲイ(&ピーター)の、人種や国籍、国家の思想の違いを越えた結びつきを、個人の自由に対する国家の執拗な干渉と対比的に描いて、国が違えど“解り合える”―個人と個人の可能性を爽やかに&希望的に謳い上げていますし、ロシア語・スペイン語・英語が飛び交う多言語世界も聴き心地抜群となっています。
蛇足)
セルゲイのモデルとなったのは実在のロシア人宇宙飛行士:セルゲイ・クリカレフ(1958-)ですが、実際に彼が宇宙から地球に帰還したとき既にソ連は崩壊していました(映画と同じ)。
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