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馬三家からの手紙 (2018)

LETTER FROM MASANJIA

監督
レオン・リー
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4.26 / 評価:23件

解説

アメリカで偶然発見された中国からの1通の手紙により、中国の強制労働施設の実態が暴かれる様子を追ったドキュメンタリー。施設に収監され過酷な状況に追い込まれながらもSOSを送った孫毅氏を映し出す。カナダで中国の人権侵害問題に取り組む映画製作者のレオン・リーが監督を務め、孫毅氏の妻・付寧さんも出演。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

アメリカ・オレゴン州で暮らすジュリー・キースさんは、スーパーマーケットで買った中国製のハロウィーンの飾りの箱に、手紙が入っていることに気づく。それは悪名高き「馬三家労働教養所」に政治犯として入れられた孫毅氏が、労働中に隙を見て命懸けで書いた手紙で、教養所で日々行われている拷問や洗脳の実態が記されていた。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2018 Flying Cloud Productions, Inc.
(C)2018 Flying Cloud Productions, Inc.

「馬三家からの手紙」それでも真実を伝えたい。命がけの手紙、命がけの映画

 タイトルが「馬三家からの手紙」なので、中国の馬さんという人が手紙の送り主かと思いきや、「馬三家(マサンジャ)」というのは地名でした。中国東北地方、瀋陽近郊にある都市です。ここにある、馬三家労働教養所から送られた手紙。送り主は、政治犯としてこの施設に収容されていたスン・イさんという人物です。

 手紙が届いたのは、アメリカのオレゴン州。ジュリー・キースさんという女性のもとにです。手紙は、ジュリーさんに直接宛てたものではありません。郵便で送られたものでもない。それは、スン・イさんが使役労働で作らされていたハロウィーンの飾りつけの中に忍ばせた紙切れでした。ジュリーさんが子どものために買った飾りつけから、ある日たまたま見つけた紙切れが、この手紙なのです。

 そこには、収容所でスンさんがいかに厳しい境遇におかれているか、どれほど精神的に追い込まれているかが綿々と綴られていました。看守にバレないように手紙を書き、毎日何百個と作っているハロウィーンの飾りつけにこっそり忍ばせる……まさに「命がけ」で送られた手紙です。

 オレゴンの自宅で手紙を見つけたジュリーさんは、とても驚き、ひどく悲しみ、自分のSNSアカウントにその画像をポストします。そしてこの画像を見たマスコミが大きな記事にし、やがてこの映画の監督レオン・リーの知るところとなります。

 しかし、ジュリーさんのポストによって「収容所からのSOS」が世間に知らされた時、スンさんはすでに収容所を釈放され、シャバに戻っていたのです。

 映画化のオファーに、スンさんはとても迷います。自分たちが受けた辛苦を、真実を世界に伝えたい。しかし自由の身になっている今、この問題を再燃させて、中国当局の不興を買ったらどうするのか?

 かつて、自分が書いた手紙は命がけでした。そして、自らがカメラを回して作ると決めた映画もまた、命がけのものになるのです。そんな重大な決断を経て、この映画は製作されました。結果、その結末には、衝撃しかありません。

 「この映画は作られるべきだったのか?」そんな、何とも形容のしがたい複雑な余韻を残して、映画は終わります。なかなか出合うことのない、あまりにも特別な一本です。(駒井尚文)

映画.com(外部リンク)

2020年3月12日 更新

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