2018年11月16日公開

YUKIGUNI

872018年11月16日公開
YUKIGUNI
3.9

/ 28

14%
64%
21%
0%
0%
作品情報上映スケジュールレビュー

作品レビュー(4件)


  • yrh********

    5.0

    バーの文化史、そしてある家族の歴史

    日本最高齢バーテンダー井山計一さんの半生を振り返るドキュメンタリー。 なぜ人はバーに行くのか。戦後の日本におけるバー文化とバーテンダーという仕事についての考察にもなっていて興味深い。 井山さんは仕事柄なのかとても話上手で話題も豊富だ。軽妙で滋味ある語り口をずっと聞いていられる。経験豊富なお年寄りの話は面白いというのもあるけれど、お客様を楽しませるために多分色々と情報を仕入れて勉強なさってもいるのだろうな、と思った。自室の本棚には、洋酒の専門書と並んで山形出身の大作家・藤沢周平や、古今亭志ん生の落語が並んでいた。仕事一筋と言えど、他ジャンルにも幅広く興味を持ち楽しんでいる人に見えた。 大正15年生まれ、撮影当時すでに90才を超えるご高齢で杖をついて歩く井山さんだが、バーカウンターの中ではしゃっきり背筋も伸びてとてもかっこいい。その年代にしては長身で、バーコートや蝶ネクタイがよく似合う。その手から生まれる「雪国」はとても美しく清廉に見える。 足掛け3年に及ぶ撮影期間中に奥様が亡くなられる。長年店を切り盛りしてきたお二人は、夫婦であり仕事上の掛け替えない相棒でもあったようだ。若い頃の妻に苦労をかけたエピソードを涙声で話す井山さん。何度思い出しても泣けてくるのだという。 一方、子供たち2人は「母の手料理を食べたことがない」「父とはあまり話さなかった」と振り返る。両親との時間は少なく、祖母が養育してくれたそう。娘さんはこの映画の中で初めて父のカクテルを口にする。一度も店を訪れなかった理由を「私は主婦だからバーには縁がなかった」とおっしゃるが、両親の職業に対するわだかまりも少しはあったのだろう。現在の井山さんが孫たちやひ孫たちを目も鼻もなく可愛がるのを見て、喜びつつも複雑な心情を語られる。 戦後の復興期から現代に至るまでの洋酒シーンの文化史であり、家族の話でもあった。久しぶりに美味しいカクテルを飲みたくなる。作品中かかるジャズもゆったりと美しい。

  • npp********

    4.0

    日本最高齢のバーテンダー

    1959年に誕生した“雪国”というカクテル。 60年経った今でも愛されている。 生み出したのは井山計一さん。 92歳の井山さんは現役バーテンダー・・・ 雪国の誕生秘話や井山さんの人生を振り返るドキュメンタリー映画です。 1955年にオープンした喫茶店兼バー「ケルン」 現在も井山さんはそこで働いています。 雪国を求めて多くのカクテルファンが訪れるとのこと! シェイカーを振る姿にはキレがあり、喋りも達者な井山さん。 お客さんに合わせて色んなエピソードを話してくれる。 この映画では普段の井山さんの生活も見れます。 昼間はパチンコに通うこともあるようで・・・ 獲得した景品のお菓子を常連客に振る舞うんだとか! 笑える話だけでなく、悲しい話もあります。 特に妻への思いを涙ながらに語る井山さんにはウルッときました。 大正、昭和、平成、令和と人生を歩んできた井山計一さん。 今もケルンでお客さんとの時間を楽しんでいるんだろうなぁ・・・ ナレーションは小林薫さん。 6月2日に閉館したディノスシネマズ札幌劇場で鑑賞。 今までありがとうございました。

  • Dr.Hawk

    3.0

    ネタバレケルンのカウンターボードにクスッと来る

    このレビューにはネタバレが含まれています。
  • mam********

    4.0

    父と娘の物語

    同時期公開中の「世界一と言われた映画館」にも登場するスタンダードカクテル「雪国」の創始者で、92歳にして、なお現役のバーテンダー・井山計一氏。山形県酒田市在住。「世界一と言われた映画館」の監督が撮影を担っている。 こちらの方があちらより、濃度も質感も映画的だった。撮影期間中に井山氏の妻が亡くなるなど、長期間ご本人を追っているさまが伺え取材の幅も広い。あちらがこちらから派生したのだろうか。こちらはナレーションが小林薫さんで、もちろんかっこいいのだけれど、どうしても「美の巨人たち」に見えてしまうという難はあった(笑)。 今なおご健在の井山氏と奥様の話はとても魅力的だが、本作の核をなしているのは父と娘の話だ。水商売で忙しく働く両親のもと良い思いをあまりしてこなかったことを率直に語る娘さんの姿が胸を打つ。娘さんは父の作ったお酒を一回も飲んだことが無かったとか。「主婦としてずっとやってきたから」(バーなどには行くことがない)という言葉から娘さんの信念が伝わってきた。「父は幸せな人生だと思う」とやや突き放し気味に語る娘さんと父の真の和解がなったのかどうか。そこは観る人次第ということで。 井山氏自身はまったくお酒を飲まないらしい。バーテンダーという職業、中々奥が深い。また、井山氏や、日本中に知られた映画館「グリーン・ハウス」の他、フランス料理店を経営していた佐藤久一氏ら、粋な人物たちが生まれた酒田という港町には興味を持った。

1 ページ/1 ページ中