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YUKIGUNI (2018)

監督
渡辺智史
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3.88 / 評価:26件

バーの文化史、そしてある家族の歴史

  • たまごボーロ さん
  • 2019年6月15日 16時00分
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    • 総合評価
    • ★★★★★

日本最高齢バーテンダー井山計一さんの半生を振り返るドキュメンタリー。
なぜ人はバーに行くのか。戦後の日本におけるバー文化とバーテンダーという仕事についての考察にもなっていて興味深い。
井山さんは仕事柄なのかとても話上手で話題も豊富だ。軽妙で滋味ある語り口をずっと聞いていられる。経験豊富なお年寄りの話は面白いというのもあるけれど、お客様を楽しませるために多分色々と情報を仕入れて勉強なさってもいるのだろうな、と思った。自室の本棚には、洋酒の専門書と並んで山形出身の大作家・藤沢周平や、古今亭志ん生の落語が並んでいた。仕事一筋と言えど、他ジャンルにも幅広く興味を持ち楽しんでいる人に見えた。

大正15年生まれ、撮影当時すでに90才を超えるご高齢で杖をついて歩く井山さんだが、バーカウンターの中ではしゃっきり背筋も伸びてとてもかっこいい。その年代にしては長身で、バーコートや蝶ネクタイがよく似合う。その手から生まれる「雪国」はとても美しく清廉に見える。
足掛け3年に及ぶ撮影期間中に奥様が亡くなられる。長年店を切り盛りしてきたお二人は、夫婦であり仕事上の掛け替えない相棒でもあったようだ。若い頃の妻に苦労をかけたエピソードを涙声で話す井山さん。何度思い出しても泣けてくるのだという。
一方、子供たち2人は「母の手料理を食べたことがない」「父とはあまり話さなかった」と振り返る。両親との時間は少なく、祖母が養育してくれたそう。娘さんはこの映画の中で初めて父のカクテルを口にする。一度も店を訪れなかった理由を「私は主婦だからバーには縁がなかった」とおっしゃるが、両親の職業に対するわだかまりも少しはあったのだろう。現在の井山さんが孫たちやひ孫たちを目も鼻もなく可愛がるのを見て、喜びつつも複雑な心情を語られる。
戦後の復興期から現代に至るまでの洋酒シーンの文化史であり、家族の話でもあった。久しぶりに美味しいカクテルを飲みたくなる。作品中かかるジャズもゆったりと美しい。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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