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不滅の女 (1963)

L'IMMORTELLE

監督
アラン・ロブ=グリエ
  • みたいムービー 3
  • みたログ 11

3.20 / 評価:5件

幻影はそれが視える者にとっては現実

  • bakeneko さん
  • 2019年3月26日 7時27分
  • 閲覧数 347
  • 役立ち度 3
    • 総合評価
    • ★★★★★

「去年マリエンバートで」のシナリオを書いた:アラン・ロブ=グリエの初監督作で、1962年のルイ・デリュック賞を「女はコワイです」と一緒に受賞しています。
個人の主観&記憶と実際に起こったことの齟齬を幻惑的な白日夢映像の中に映し出す-「去年マリエンバートで」の姉妹編的作品で、以後このテーマと語り口はアラン・ロブ=グリエ映画の基本パターンとなってゆきます。

休暇を過ごすため夏のイスタンブールにやって来た男(ジャック・ドニオル=バルクローズ)は、そこで謎めいた美女(フランソワーズ・ブリオン)と出逢う。男は彼女との邂逅を重ねるが或る夜彼女は自動車事故で死んでしまう。しかし、男は行く先々で彼女の姿を見かけ、真相を探してイスタンブールを彷徨う…というお話で、“彼女の死と死後に視える彼女の姿のどちらが本物か?”を巡る夢幻的な彷徨譚となっています。
「去年マリエンバートで」と同様に映像美が見事な作品で、夏のイスタンブールの強い陽光と明暗のくっきりした海と空が、日射病の眩暈の様なまぼろしの女を垣間見せて、不思議な詩情と憧憬感覚を想起してゆきます。

そして「去年マリエンバートで」と同じ-“主観と現実のどちらが本人により真実なのか?”をテーマにした目くるめく映像美の作品ですが、こちらは明確な決着が着く点が一番の相違点となっています。

不思議な幻影を追う主人公の彷徨を描いて、「赤い影」、「世にも怪奇な物語:第三話-悪魔の首飾り」、「悪魔の追跡」等を想起する作品ですが、フランソワーズ・ブリオンの姿は、観客に“永遠に去っていった恋”を連想させてロマンチックですよ♡

ねたばれ?
浜辺に打ち寄せる波や砂浜の風景ってどうして郷愁を誘うのだろう…

おまけーレビュー項目に無いアラン・ロブ=グリエ監督作のレビューを…
真実と虚偽のあいまいな境界
「嘘をつく男:
L'homme qui ment」(1968年 フランス=イタリア=チェコスロバキア 95分)監督:アラン・ロブ=グリエ 出演:ジャン=ルイ・トランティニャン、シルビエ・ベレアル、ユーゼフ・クローネル 他
「暗殺のオペラ」(1970年)の原作でもある、ボルヘスの短編「裏切り者と英雄のテーマ」を、アラン・ロブ=グリエが“虚構と真実”のテーマに沿って膨らませた作品ですが、こちらの作品(1968年)の方が「暗殺のオペラ」よりも先に作られています。

第2次世界大戦末期のナチス傀儡政権下のスロバキア共和国の小さな村に、その村出身のレジスタンスの英雄ジャンの親友だという男(ジャン=ルイ・トランティニャン)が現れる。
ジャンを待つ妻と妹&メイドの住む家を訪問した彼は、言葉巧みに彼女たちを誘惑するが、その供述は二転三転して…というお話で、冒頭の男が逃げ回る-“当たらない銃撃戦”場面から虚偽色に満ちたドラマが展開します。主人公の一時も休まない虚偽の釣瓶打ちマシンガントークとその再現映像が次々と逆転する様子に、観客は“数分前まで信じ感情移入していた事象が反転する-精神的足場の消失”に翻弄されながら、自分たちが見聞きする事象や印象もまた真実性の証拠が希薄であることに気づかされる作劇となっています。

ジャン=ルイ・トランティニャンが第18回ベルリン国際映画祭で男優賞を受賞した-嘘つき男が誘導する-矛盾と逆転が乱舞する不可思議な世界を体験できる作品で、同じ原作の「暗殺のオペラ」と見比べるのも一興ですよ!

ねたばれ?
嘘をつき捲くる主人公に「うる星やつら」の“浜茶屋の親父”や、「甘えんじゃねえよ!」(吉田戦車)の“みっちゃんのママ”を連想しました♡(←馬鹿)

詳細評価

物語
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