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ゴッズ・オウン・カントリー (2017)

GOD'S OWN COUNTRY

監督
フランシス・リー
  • みたいムービー 59
  • みたログ 119

4.15 / 評価:85件

大地の恵みに支えられた人々の営みに敬意を

  • ta7***** さん
  • 2019年2月24日 17時33分
  • 閲覧数 502
  • 役立ち度 6
    • 総合評価
    • ★★★★★

 人が人を愛する必然を静かに見つめる映画作品、明らかなイギリス版「ブローク・バック・マウンテン」だが、苦く切ないオスカー作品と異なり心安らぐハッピーエンドに収斂しとてもいい。ラブストーリーにしては捻りも起伏も少ないが、ヨークシャーの荒涼たる自然の真っただ中で営む畜産仕事のありのままを、牛の尻に手を突っ込み、羊の出産から死産の解体・皮剥きまで、プロの役者が直接こなすリアリティが厳然と存在し、タイトル通りに神に与えられた恵みの大地そのものを映像の核に据える。辟易するようなCGテンコ盛り映画が跋扈する昨今、真の映画芸術のリリシズムにすっかり酔ってしまいます。

 家族経営の牧場だが、母親は家を出、足を痛めた父親と母親代わりのさらに老いた祖母の3人で、当然息子ジョニーが大黒柱なのに、酒に溺れ鬱屈を抱えた閉塞感。これが前提で、やむなく一時しのぎとしての労働力として「移民」を雇うことから物語が動き出す。ゲオルゲの濃い髭の風貌から、パキスタン? NO!ルーマニアと答えるも ジプシー?と差別される始末。要するに全然タイプではない男の登場によりジョニーに少しずつ起こる変化が本作の見どころ。移民を卑下するもその誠実で優秀な能力により立場が逆転してゆく。性処理でしかなかったゲイが、真に愛する事に自覚してゆく描写が視線一つ、指先一つで映像化され、画面に身を委ねる心地よさを実感出来る。

 なにもかもお見通しのような祖母も余計なことは一切口にせず、ありきたりの諍いが生じ去ってしまったゲオルゲの行き先を教える寛容に安らぎます。ラスト、夜行バスの冷たいガラス窓に頭を右へ傾け、引き戻しに失敗かと思わせるも、次の瞬間に首を左に傾ければゲオルゲが居る! トレーラー・ハウスでなく母屋へ一緒に入って終わる至福感の素晴らしさ。心温まるとはこのことで。

 それにしても前述したとおり、牧童のすべき仕事を吹き替えなしに演ずる凄さ、結構な作品に出ている役者が、それのみならず全裸で演ずるのに、なにもセックスシーンでもないのに、相変わらずの閉鎖日本の検閲が無粋なボカシで作品を汚す。真っ黒な昔を思えば自然に見えなくもないが、見せてるものが見えない不快感は拭えない。

 エンドタイトルには昔の村人総出の収穫風景の実際のフィルム映像が祝祭のように続く。大地の恵みの前の人の営みの、あるがままの豊かさよ。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • ロマンチック
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