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ゴッズ・オウン・カントリー (2017)

GOD'S OWN COUNTRY

監督
フランシス・リー
  • みたいムービー 61
  • みたログ 127

4.09 / 評価:91件

ふたりの幸せを願わずにはいられない※追記

  • zyd***** さん
  • 2019年3月8日 1時27分
  • 閲覧数 773
  • 役立ち度 4
    • 総合評価
    • ★★★★★

※追記 三回観ましたが、まだいろんな発見があります。祖母はゲオルゲの味方をしてくれたんですね。ジョニーが過ちに気づくまで連絡先を教えなかったから。今のジョニーそしてこれからの農場にとってゲオルゲが必要なのを理解していたんですね。

気づいた所や感動した場面をいくつか。

・この人物設定の中で、LGBTへの葛藤が描写されない点が珍しいと思う。

・ゲオルゲが、サックスビー家に着いた日の食卓で出されたクッキーをそっとしまって折に触れて大切に食べ続けるのは、パブでジョニーに話したように、「二度と経験したくない」とまで言わしめた、かつて祖国の自宅牧場が破綻したことにより、母親が英語教師に就けるくらいに安定した家庭生活が一転し、厳しい生活を強いられた過去を暗示しているように思う。

・ジョニーは当初、排他的なコミュニティの環境で育った影響や、親が自分を頼りにせず勝手にゲオルゲを雇ったこと、またはゲオルゲが移民で、自分の好みの色白金髪でなかったことなどから、度々ゲオルゲに差別語を投げかけるが、かたやゲオルゲは、サックスビー家の食卓での、ジョニーの父と祖母のちょっとした微笑ましいやりとりに笑みを浮かべたりと、他所でもおそらく数多くの差別を受けてきたであろうに、彼自身は始めから他者へ寛容的なのがジョニーとは対照的。ジョニーにとても侮辱されてついに怒ったけど、それでもジョニーの手の傷を心配する分け隔てのない優しさの持ち主。もちろん羊などの家畜に対しても。

・ジョニーの心情の変化がこの作品の主な見どころだか、ジョニーとは違って寡黙で思慮深く落ち着いており、ジョニーのような問題行動は一見なさそうなゲオルゲに思いを馳せると、祖国では牧場の家庭で育ったことや、また生業でもあるから、サックスビー家そしてジョニーへのシンパシーがあるのが自然であろうし、腕前は良くても移民労働者で不当な差別を受けてきたことは想像に難くない彼にとって、ジョニーからの突如の性行為であったとはいえ、自分を差別し侮辱して強がっていたジョニーから激しく求められた‥もとい、自分という存在をそこまでもとても必要としてくれたことへの喜びがあり、ジョニーの抱える孤独と、ゲオルゲ自身のそれが、ここで重なり合ったのかもしれないと思った。

・ジョニーが、小屋の藁の上でゲオルゲの愛撫を経て、おののきながらも唇を受け入れる場面が、まるで荒涼とした大地に突如湧いた泉から愛が溢れ出すかのように、ふたりの間が愛で通じあった素直な喜びで満たされているように思えて、とても感動した。

・ゲオルゲがたまに半ズボン(水着?)を履いていたが、寒くないのか?

・祖母が見つけた使用済み避妊具はどちらが使ったのか考えた。当初はジョニーかなと思ったが‥よくよく思い出してみれば、裸でふたりで迎える朝のシーンで、ジョニーがなぜか目も虚ろな放心状態だったり、別の朝のシーンではゲオルゲは裸にセーターのみ着てるのにジョニーだけ全裸のままだったりするので‥ゲオルゲに仕込まれた?(下世話で御免なさい)

・祖母がアイロンがけ中に堪えきれず泣き出す場面について。先程ふたりの関係を悟った(孫の性癖は薄々感じていた?)。でも頼りない孫でも大黒柱となり、いつか幸せになってほしい。そして息子は回復の見込みがない。そんな四面楚歌の葛藤がああさせたのかと思った。祖母としては、見守ることと、正しい方向に導くことしかできないだろうから。

・ラストにジョニーが一旦自分のもとを去ったゲオルゲを説得する場面で、ジョニーの心が成長したことを感じさせられたことが素晴らしく思え、心が震えた。あれだけあてがなく、強がりと寂しさを抱えていたジョニーが、ゲオルゲによって愛を知り、こうして涙をこらえながら、不器用なままでもゲオルゲを求め、かたやジョニーが自分の所へ来ると多分わかっていた(祖母の誘導?)ゲオルゲも、過ちを犯した彼を受け入れて許しのキスをし、抱擁するとジョニーの目から涙が流れる場面は、ジョニーの心からの思いも溢れているようで、何度観ても、また思い出しても、こちらの胸が熱くなる。

・Brexitは映画の製作中に決定したとはいえ、タイミング等を思うとまるで神の計らいのよう。

・主演二人の映画祭などの映像を見ると、役柄とは印象が真逆。ジョニー役のジョシュ・オコナーは、あんなに粗野で虚ろな目を見せていたのに、本人は育ちの良さそうな笑顔溢れる好青年。ゲオルゲ役のアレック・セカレアヌは、長いまつ毛の目元も麗しいエキゾチックな魅力が炸裂していたのに、普段の髭ぼうぼうでマイペースそうな風貌にびっくりした。

・ラストのドアを閉めた向こうで、数あまたであろう困難を乗り越えて、ふたりが幸せに暮らすことを祈りたい。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 泣ける
  • 切ない
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