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ゴッズ・オウン・カントリー (2017)

GOD'S OWN COUNTRY

監督
フランシス・リー
  • みたいムービー 60
  • みたログ 119

4.15 / 評価:85件

恋と仕事と家族と。二人の幸せを願う

  • たまごボーロ さん
  • 2019年4月12日 22時56分
  • 閲覧数 508
  • 役立ち度 7
    • 総合評価
    • ★★★★★

「神の恵みの地」と呼ばれるヨーク地方の大自然は、確かに綺麗だけど薄暗い。灰色の空で荒涼たる風景が広がる。このどんよりした景色がそのまま、主人公ジョニーが置かれている閉塞感と重なる。
ジョニーは高齢の婆ちゃんと体の不自由な父ちゃんとで牧場を経営しているが、素人目にも人手不足で経営が厳しそうなのがわかる。
牛や羊の出産介助や、死んだ家畜の処理など、畜産業の知識がない者はギョッとするようなシーンも山盛り(どうやって撮影してるんだろう・・本物?フェイク?)。生き物相手だから休めないし力仕事も多い。しかもさほど儲かってなさそう。田舎なので遊ぶ場所もない。ストレスいっぱいのジョニーは酒とセックスくらいしか鬱屈をぶつける場所がない。
親父さんは体の自由がきかない苛立ちもあり、息子に小言ばかり。婆ちゃんも孫を心配して世話を焼いてくれるものの「あんた大黒柱なんだからしっかりしなさい」とプレッシャーをかけてくる。ジョニーは状況をわかっているだけに、現実から目をそらしたい。愛し合っているのに息苦しい家族関係。この小さい苛立ちの重なり、多くの家族でこういう時期がちょっとはあるのではと思う。凄くわかる。

ジョニーは臨時雇いのゲオルゲに「お前パキか?ルーマニア?じゃジプシーか」と差別用語連発で挑発する(「ボヘミアン・ラプソディ」でもフレディが「パキ」と呼ばれ差別されてるシーンあったな)。この映画は産業の斜陽や経済問題だけでなく、移民や人種差別問題も盛り込まれている。学歴格差も描写されていた。ジョニーは大学進学したかつての同級生に屈折した態度を見せる。

大自然の中、家畜の世話をする若い男同士の恋愛というと「ブロークバック・マウンテン」を思い出す。あちらは悲恋だったが、本作はハッピーエンドだ。様々な社会問題がさりげなく描写されている本作だが「同性愛ゆえの障壁」は特に描かれない。ごく当たり前の自然な衝動として扱われている。婆ちゃんと父ちゃんは薄々気づいているような気がしたが、歓迎しないまでも特別に反対もしない。
「ブロークバック」ではワイオミングの明るい大自然の中、美青年二人の戯れは神話のようだった。一方こっちはじっとりどんより暗いヨークの空の下、泥と汗にまみれた無骨なラブシーンはまるで喧嘩のよう。荒々しかった二人の触れ合いが情愛深く優しくなっていく過程も繊細でいい。

物語の最初では「だらしなくて傲慢な嫌なやつ」に見えたジョニーが、愛する人と出会い、暮らしを立て直そうとする、その姿がとても可愛く見えてくる。ゲオルゲに心を開くと共に、家族との軋轢も解けていく。
二人の再会と仲直りには感動した。言葉少なだが、恋の美しさが胸を打つ。二人がいつまでも幸せに暮らして欲しいと思った。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 切ない
  • セクシー
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