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キングダム
2019年4月19日公開

キングダム

1342019年4月19日公開

月光雀

5.0

傑作と呼ぶに相応しい

原作は未読。 かなり有名なタイトルであり、前々から気にはなっていましたが、なに ぶん中国の歴史モノは登場人物の「名前の漢字」が難しいので取っつき 辛く、しかも原作の最新が「54巻」ということで、漫画喫茶に行って 最初から読むには少なからず時間と覚悟とお金が必要だろうと考え、今 まで敬遠してきた次第です。 しかしここまで長く作品が続くというのは、やはり並大抵の面白さでは 無いからだろうし、当然ながら多くのファンに愛されてきたからこそ。 なのでこの作品に触れるいい機会になると、予告編を観た時から上映を 楽しみにしていました。 そしていざ鑑賞。 結論から申し上げれば、原作の良さも当然あるのでしょうが、非常に質 の高い作品で、大いに楽しむ事が出来ました。 やはり個人的に、鑑賞前まで不安に感じていた「2大要素」が、冒頭で 払拭されたのが大きいのだと思います。 1つ目の不安要素は、紀元前の中国人が「日本語」で会話するという、 漫画やアニメでは発生しないであろう「違和感」です。 これは下手をすれば、作品全体が大いなる茶番劇になる危険性を孕んで います。 見ようによっては、呆れる程リアリティが薄くなりますので。 しかし実際に観てみると、案外すぐに慣れました。 我ながら無理矢理ですが、脳内で 「これは日本語吹き替え版だ。口の動きがまんまなのは気のせいだ」 と思うようにしたからです。 モノは考えようという事ですかね・・ 2つ目の不安要素は主演である山崎さんの演技。 私はこのサイトで彼のことを「万年大根」と呼んでおり、彼の主演作を 観る前には必ずハードルを下げていく習慣があります。 今までの過去作はその「ハードルをも下回る」演技の数々で、深い溜息 が止めどなく口からついて出ていたのですが、今作は少し趣が異なって いました。 僅かに演技が上達している様に感じたのです。今までに無いことです。 泣きのシーンは思いのほか良かったし ワンパターンだった表情も、多少バリエーションが増えたように思うし 殺陣もスタントマンがいるかもしれませんが、かなりの高水準だったし 叫びまくっているのが時にウザく感じましたが、それは信というキャラ の個性なのかもしれないし とにかく売り物にならない規格外の大根から、ブリを引き立てる出汁の 沁みた大根位にはなったという印象です。 こういうのを一皮剥けたというのでしょうか・・ 一応褒めてます・・ という訳で上記の2点を多少強引に「杞憂」としたことで、この映画は 私にとって非常にクオリティの高い逸品と相成りました。 まずは脚本。 原作を全く知らない私でも、疑問点や不自然に感じる部分がほぼ見当た らない、分かりやすくも押さえる部分をきっちり押さえた、完璧に近い 出来栄えだったと思います。 短い尺ながら登場人物一人一人に「光る個性」を纏わせて、活き活きと 活躍させていました。行動のほとんどに必然性もあります。 原作からの引用では当然あるでしょうが、要所要所の台詞にそのキャラ の「信念」のようなモノを感じさせ、物語に強い「深み」を与えること にも成功していました。 敵役もまた、新手のスタンド使いみたいに謎めいた雰囲気を身に纏い、 滅茶苦茶強そうな風貌で登場。いかにも勝ち目無さそうです。 なので戦闘シーンは高レベルのワイヤーアクションも手伝って、テンポ の良い緊張感に満ち溢れた展開の応酬でした。 手に汗握ったなあ・・ 初見で先が全く読めない作品は、これだから楽しい。 役者さん達の演技も本当に素晴らしかった。 特に二役を演じた吉沢さん。もしかしたらこの作品は彼の出世作になる かもしれない・・そう思わせる程の圧倒的な存在感がありました。 クライマックスでの彼の台詞には、ただ文字で読むだけでは伝わらない であろう凄みと説得力があり、計らずも背筋がゾクゾク。 漫画やアニメには出来ない実写ならではのというか・・実写にした意義 みたいなモノを、彼の演技は魅せてくれました。 そして久しぶりに見た大沢たかお氏。 彼の演技も抜群に良かった。まさしく新境地! 映画「世界の中心で愛を叫ぶ」の好青年と同一人物とは到底思えません。 「え?」と目を擦った程。 やっぱりプロの役者さんは凄いです。 映像も音楽も大作らしく壮大で力が入っており、CGもあるかもしれ ませんが、エキストラの数も相当数いて臨場感は抜群。 不満に思う部分が見当たらない、傑作と呼ぶに相応しい作品だったと 思います。 お奨めです。

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