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LOVEHOTELに於ける情事とPLANの涯て
2019年1月18日公開

LOVEHOTELに於ける情事とPLANの涯て

R15+1052019年1月18日公開

Dr.Hawk

4.0

ネタバレもうひとつのPLANがあったような気がした

2019.1.21 T・JOY京都 2018年の日本映画 ワンシチュエーションで繰り広げられる「覗き見」体験スリラー ラブホテルの一室を舞台に、そこで起こる事件の顛末を描いている 監督&脚本は宅間孝行 物語は主人公である警察官の間宮(三上博史)がラブホテルの一室で隠しカメラを設置するところから始まる 持参したカバンにカメラを仕込む間宮 そして、その部屋にデリヘル嬢の麗華(三浦萌)がやってきた 麗華は間宮を焦らしながら交渉を進め、彼女のアイデアで得た横領金を手にゴキゲンになる そして彼女の好きなケチャップたっぷりのハンバーガーを口にしたあと、ふたりは情事へと走り出す だがそれも束の間、間宮の妻・詩織(酒井若菜)が部屋に入ってきたからである 物語は間宮の浮気現場を押さえるために乗り込んだ詩織との間で夫婦喧嘩が勃発し、それがエスカレートしたのちに「間宮の銃が誤発砲して麗華が死んでしまう」ところから動き出す 詩織も間宮と同じく警察官で、事件が発覚すれば夫は懲戒免職、娘は犯罪者の子どもになってしまう そこで間宮は死体を処理する計画を立て、かつて犯罪を見逃して借りを作っていた中国人ブローカーのウォン(波岡一喜)を呼び出した そして彼が死体処理を始めようとした矢先、麗華と連絡を取れなくなったマネージャーの小泉(阿部力)が現場へとやってくるのである この映画の特徴的なところは、そのタイトルであろうか 細かく観て行くとその意味が明確になってくる 「LOVEHOTEL」は舞台 「於ける」は場所時間の特定 「情事」は男女間の事柄やもつれ 「PLAN」は計画 そしてひとしきり重要なのは「涯て」という言葉である 通常なら「果て」と当てられるところを「涯」を使う これは生涯などで使われる漢字で、要は死ぬまでを意味する そしてこの映画におけるPLANとは誰のどのPLANだったのかを考える必要が出てくるのである 普通に考えると、「LOVEHOTELという場所で麗華とウォンを始末する」という間宮と詩織のPLANのはずである その為にデリヘルショートで40分という限定を敷き、小泉を介入させる 「麗華をウォンに殺させる」あるいは「誤発砲でもウォンに罪を着せる」というPLANは成功しているので、ここで言う「涯て」は「麗華とウォンが死ぬまで」を意味すると思う だが麗華は死んだが、ウォンが死んだという描写がないのである 小泉と舎弟(樋口和貞)によって連れ出しされたが、小泉がウォンを始末するかどうかはわからない むしろブローカーとしての稼ぎを毟る方が、麗華に客をあてがい続けるよりも儲けもデカイし期間も長い 麗華は今は若くて稼げてもいずれは用済みになるし、代わりは誰もでいる業界だからである そしてエンディングでは街角で再会したふたりに衝撃的な「涯て」が訪れる この「衝撃」は事故だろうか? 通常ならクズ人間が因果応報で報いを受けたとなるだろうが、この映画の「有頂天が悪い方向に行く」というシナリオを考えると、間宮と詩織が見過ごしてしまったものが浮上してくる 彼らにとっての最大の有頂天は「彼のPLANの成功」とその「誤認」である ウォンの死を見届けずして、彼のPLANは成功したと言えるだろうか 鑑賞後にこれは「殺人」だと感じ、おそらくは「コケにされた小泉の報復」だと考えた 横断歩道ですれ違いう際に、詩織の夫の靴紐が偶然緩む、同時に歩き出した間宮のところに「ブレーキもかけないトラック」が突っ込んでくる この一連を因果応報とは捉えにくいからである 個人的な見解であるが、ウォンが連れ去られたあと「ウォンの話を聞いた小泉」は、ふたりを揺するネタを手にしたかも知れない だが役職でもないふたりの警察官を抱き込んでも(このふたりが警察官としてはほぼ無能)小泉が得られるものはほとんどない むしろコケにされ利用された怒りの方が大きいだろう ウォンは生かしておいて金を掠めとる ふたりは絶頂の中で報復を受ける 感覚的には詩織の夫が絡んでいる感じがして、そのあたりに別のPLANがあったような印象さえ感じた いずれにせよ、練りに練られたシナリオから繰り広げられるワンシチュエーション・スリラーは通常の映画とは違った角度で楽しめる その質も申し分なく、別のPLANがあったとして饒舌に語らないところに深みを感じた ラストでふたりがそれぞれ映像を分け合うのだが、間宮は安堵から詩織に気を許している節があった ラストシーンが一瞬だったのではっきりと確認できなかったが、轢かれたのがふたりではなく間宮だけでも良かったような気がする 詩織への警告にも読めるし、実は第二のPLANを詩織が持っていた、というのもアリである 自宅で夫がいながら映像を見る彼女は、紛れもなくサイコパス寄りの人間だからである だからこそ、「PLANを知るどちらかだけが死ぬと」いうラストも面白かったように感じた

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