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22年目の記憶
2019年1月5日公開

22年目の記憶

MY DICTATOR

1282019年1月5日公開

bakeneko

5.0

ネタバレあっ あれはマジンガーZ!

いきなりすみません! “テコンV”にも似ていますが、必殺技がルストハリケーンとレーザービームと言っているので間違いないと思います。ただ、韓国でマジンガーZが放映されたのは1975年からなので、多分1972年に日本で放映されていたマジンガーZの電波を海賊放送していたか、メンコのみが販売されていたのだと思われます(まあ、映画スタッフの時代考証の間違いの可能性も大なのですが…)。 南北対立時代に韓国で南北首脳会談のリハーサルが行われたという事象に着想を得た物語で、南北共同声明が発表された1972年に両首脳の対話シュミレーションの為に金日成の役を割り当てられた役者の歪められた半生を通して、南北対立時代の朝鮮半島の近代史を振り返りながら、役者と言う生き方や父子の情愛も描き出している異色作であります。 南北共同声明が発表された1972年に、南北首脳会談に向けたリハーサルの為に韓国は北朝鮮の最高指導者・金日成の代役に売れない役者のソングン(ソル・ギョング)を選び出す。KCIA主導の苛烈なトレーニングによって役に没頭したソングンだが結局首脳会談は行われず、金日成に成り切ったまま常軌を逸した彼は病院に収容される。22年後の1994年に成人した息子のテシク(パク・ヘイル)が、借金の形に所有地を売り払うべくソングンから印鑑の在りかを聞き出すために嘗ての家に迎え入れるが…というお話で、 独裁者の仕草や思考をトレーニングする様子は-「わが教え子、ヒトラー」 1994年の韓国に金日成が突然出現した言動のシミュレーションは-「帰ってきたヒトラー」 親の妄想に子供が合わせる工作は-「グッバイ、レーニン!」 -といった作品を連想させますし、 国家権力に利用される役者の物語としては-「メフィスト」を踏襲しています。 また、最初と最後に父親が演じた“リア王の道化役”は“トリックスターとしての役者の立ち居地“を象徴していますし、父親が22年間も金日成役に封入されていたことは南北関係がその間全く進展しなかったことを表しています。 そして、クライマックスの仮想南北対談で役者の演じる金日成が発する言葉は、そのまま当事の韓国への鋭い批判となっていて、漸く役から開放される展開は“国民が押さえつけられていた本音を漸く吐き出した”除霊感を象徴しています。 最初の“ダイコン役者”から始まって、クライマックスで金日成に成りきって見せる-ソル・ギョングの演技に見とれる作品でもあり、韓国でも演技メソッドは“役に没入する”=スタニフラフスキー理論が主流であることが判りますよ! ねたばれ? 1、韓国でもチャンポンはチャンポンって言うんだ。 2、KCIAの幹部だけは齢をとらないんだなあ~(権力層は衰えないってことかな)

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