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22年目の記憶
2019年1月5日公開

22年目の記憶

MY DICTATOR

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5.0

金日成になった父、そこに秘めた親子愛…

正にカメレオン俳優ソル・ギョングの為の役どころ! 金日成を徹底して演じようとするあまり、金日成が憑依したかのようになった男ソングン。そのソングンという架空の存在がソル・ギョングに憑依していたようにも感じました。 あらすじとしては、 1972年に南北共同声明が発表され、韓国は初の南北首脳会談に向け、北朝鮮の最高指導者・金日成の代役オーディションを秘密裏に開催する。 そこに売れない役者ソングン(ソル・ギョング)が抜粋され、この役を誰にも渡さないと日夜厳しい訓練をこなすソングンだったが、いつしか自分を金日成だと思い込むようになる… といったもの。 そういえば2018年の南北首脳会談も記憶に新しいところですが、この映画は2014年のものだったんですねぇ。まぁ公開が遅れたことで、かえって映画への興味が湧くニュースの後で観れましたが。 劇中ではソングンが自身を金日成だと思い込んでいくという物語以上に、ソングンの息子テシク(パク・ヘイル)との親子の関係を描くドラマ映画としての要素が主になっていたと思います。 役者として芽の出ないソングン、更にある失敗によってテシクに対し申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまうんです。 だからこそ、この金日成の代役の仕事だけは成功させたかったのだ。しかし、皮肉にもその想いがますますテシクを悲しませる結果を生んでしまいます… しかし、ソングンの心の根底にあったテシクへの想いが鮮明になる終盤の展開には猛烈に感動! それまでどうにも報われないソングンだったけど、まさかこんな「着地点」が用意されていたなんて…衝撃の展開に胸が熱くなりました。 重く難しい内容になのかなとも思ってましたが、非常に分かりやすく観やすい映画でした。 金日成になりきる為の演技指導を受けるシーンや、また、自身を金日成と思い込んでからのソングンの言動や行動には滑稽にすら感じるシーンもありました。 決して政治的な映画ではなく、あくまで多くの人が観て、楽しみ・感動できる映画として完成しているところも良かったです。 しかしやはり、なんといっても見所はソル・ギョングの鬼気迫る演技でしょう!とにかく圧巻です! 元々韓国の俳優は総じて演技力が高いですが、その中においてもなお突出した演技力を見せるソル・ギョング、本当に凄いです! 終盤の見せ場はもはや元のソル・ギョングの姿を忘れ、本物の金日成が話している様にすら感じてしまいます。正にカメレオン俳優としての本領発揮でしょう。 なんだか観ている内に、ソル・ギョング自身がこの映画のように役に飲み込まれてしまうんじゃないかと心配してしまったのは私だけでしょうか(笑)? それにしても、ここ最近観る韓国映画は『1987、ある闘いの真実』や『タクシー運転手』など、社会派映画でありながらもエンターテインメント性もある作品が多かったです。 そのどれもが素晴らしい脚本、俳優達の確かな演技力に裏付けられた名作だと感じました。 もちろん今回の『22年目の記憶』も、とても素晴らしくオススメです! 是非ソル・ギョングの演技に酔って下さい。

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