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バイス (2018)

VICE

監督
アダム・マッケイ
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3.47 / 評価:1151件

チェイニーを押し上げた決定的な一打

  • TとM さん
  • 2020年7月2日 11時33分
  • 閲覧数 372
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

「バイス」を観たのは、結構前の事になる。すごく面白かったんだが、書きたいことがいっぱい有りすぎて、何を書こうか迷いに迷って、2週間くらい経っていた。
「バイス」は伝記映画であり、ブラックコメディであり、おじいちゃん映画でもある。
リン・チェイニーの物語としても興味深く、こんなに切り口の多い映画もちょっと珍しいんじゃないだろうか。

しかし、筆頭に挙げるなら演出の思いきりの良さが相応しいだろう。登場人物の目論見や内心の感情などがそれを象徴する「ストーリーとは無関係な映像」によって補完される。
言うなれば「※イメージ映像です」みたいなシーン。
これらが挟まれることによって、シリアスな話運びはわかりやすく可視化され、コメディとして万人に受け入れられる映画が成立している。
ブッシュJr.とのやり取りではフライフィッシングのシーンが挿入され、会話の流れとは無関係なチェイニーの笑顔も挿入される。その笑顔はルーレットで賭けたマスが的中したかのような「してやったり」の笑顔だ。

副大統領という何の権限もない人でありながら、しかもブッシュJr.という強烈なキャラクターが大統領であった時の副大統領でありながら、ここまで有名な人も珍しい。
こんなに強烈な人物が大統領と副大統領を務めていたんだから、この頃のアメリカが話題に事欠かなかったのも納得だ。
あんまり良い話題はなかったのだけど。

ブッシュJr.、チェイニー、ラムズフェルドを演じた3人の演技も最高だった。
主演のクリスチャン・ベイルは勿論のこと、サム・ロックウェルは別に似てるわけではないけどブッシュJr.にしか見えない素晴らしさだし、スティーブ・カレルはヤバそうな奴を演じた時のテンションの落差に深みがある。
過剰な演出に負けない濃い演技陣による人物描写が痛烈な風刺に笑いをもたらし、映画で描写される出来事を身近な問題として再認識させるのだ。

長時間の労働によって余暇を奪われ、自分達の生活がかかっているのに政治から締め出された「国民」に、限りある娯楽の中で政治への関わりを訴えるエンディングも、一筋縄ではいかない皮肉さ。
面白いけど、面白く観ている場合ではない。
面倒くさい政治の話題を避け、政治を自分の事としてとらえなくなった先に、「バイス」は存在するのだから。

「天地人」という考え方がある。天の時、地の利、人の和が戦略の三要素として重要だという。
チェイニーがここまでの事を成すにも「天地人」は必要だった。
国民が考えることを止めた、その「天の時」さえなければ「バイス」は産み出されなかったであろことを忘れてはならない。

詳細評価

物語
配役
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