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バイス (2018)

VICE

監督
アダム・マッケイ
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3.47 / 評価:1249件

主人公たちがまだ存命なのに、よくぞ作った

  • shinnshinn さん
  • 2019年4月9日 6時49分
  • 役立ち度 17
    • 総合評価
    • ★★★★★

物語として面白くないと感じるのは、主人公のチェイニーの人物像に魅力がないのだ。この人は志の高い<政治家>などではなく、政界をいかに上手く泳いで行くかで頭が一杯の<政治屋>だ。世の中を変えるとか、そんな高潔な思いは一切ない。この人には、戦争になれば国の若いもんが死んで行くという想像力がない。人が死ぬ事よりも、戦争で石油関連会社が儲かる事の方が大事なのだ。


それにしても、ディック・チェイニーやドナルド・ラムズフェルがまだ、ご存命なのによくもここまで嫌な奴に描いたものだ。ご立派です。唯一、<夫婦の絆>という意味では若干の好感が持てます。おとーちゃんガンバレ的な籠池さん夫妻みたいに夫婦仲はよいのだ(笑)。なぜ、こんな人物が選挙で当選出来るのか?映画では説明不足です。演説が上手いとか、人間的に憎めないところがあるとかの描写は一切ない。


副大統領役のクリスチャン・ベールも夫人役(セカンド・レディというらしい)のエイミー・アダムスも、国防長官ラムズフェルド役のスティーヴ・カレルもブッシュ大統領役(せがれの方)のサム・ロックウェルもみんな巧い。みんな、嬉しそうに嫌な奴を楽しんで演じています。ブッシュなんか本当にアホっぽくて巧い。副大統領夫人以外は、もしイラク戦争で負けて、勝者が敗者を裁く裁判になった場合、A級戦犯になる可能性があるんじゃないのか。


もう少し、アメリカの政治に詳しければ、もっともっと楽しめたのかもしれないが、日本で断片的にプライムニュースを見ていただけだし、イラク戦争の時も、日本人の空気は所詮、対岸の火事だった。


9.11テロでワールド・トレード・センターに飛行機が突っ込んだ時、これは真珠湾攻撃以来の<不意打ち>だと、多くのアメリカ人が頭に血がのぼり熱くなっている時に、ブッシュが何故か9.11テロとは全く無関係のイラクへの攻撃へと、国民をミスリードする(このとき、日本人は真珠湾の時に狙ったのは、ホノルル湾の軍艦と軍事施設のみで、民間人を的にかけたりはしなかったと反論。ただし命を賭けての特攻は日本が元祖です。オリジナリティのない日本人にしては珍しい)。


結局、イラクの独裁者サダム・フセインは9.11テロの首謀者でアルカイダの司令官ウサマ・ビン・ラーディンとは無関係だったし、国内に大量破壊兵器もなかった。核兵器開発も施設が破壊されていたため、とっくに諦めていたとか。恐怖政治とは言え、治安のよかったイラクは、アメリカが後先を考えずフセインを排除したものだから、パンドラの箱を開けたがごとく中東は大混乱になり、多くの市民が犠牲になる。キッシンジャーがよく地政学とかエラそうに言っていたが、<敵の敵は味方>みたいな、ほとんどヤンキー漫画みたいな単純な行動原理なのだ。大体、アルカイダはアメリカが作った訳だし、ブッシュのオヤジのパパ・ブッシュはウサマ・ビン・ラーディンのオヤジとは親友(言い過ぎならビジネス・パートナー)だった。


アメリカは常時、弾をつくり続けているので、溜まると定期的に発射したくなるのだ。単純なオスのメカニズムだ。安倍政権になってから日本もいつの間にか武器、弾薬が作れるようになったと聞き及ぶ。永世中立を歌いながら、高性能の武器、弾薬を大量に輸出しているスイスを、心のどこかで軽蔑していたのだが、それも出来なくなる訳だ・・・。ただし、困ったことにイージス艦やステルス戦闘機など、より強い武器を持ちたいという、オス独特の本能は実は自分にもある。


日本もアメリカに守ってほしいという、嫌らしい気持ちもあるし、このまま行って、戦国時代みたいに同盟国のよしみで、攻撃の先方でも仰せつかったらドナイショという気持ちもある。日本もついに即上陸、即制圧が目的の海兵隊をつくるようだ。戦後の日本は自国の軍隊が一人も外国人を殺していないという、素晴らしい記録が更新中なのだが・・・。昭和は激動の時代だったけれど、令和は大丈夫か(元号が変わる時のこの感じは日本ならでは)。


超大国アメリカの<世界でもっとも権力を持つ男>と言われるアメリカ大統領とは、とりあえず仲良くしておくべきなのか・・・・。
アメリカは恐ろしい国。民主主義を唱えながら、沢山の外国人を殺す。

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物語
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