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ある少年の告白 (2018)

BOY ERASED

監督
ジョエル・エドガートン
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3.44 / 評価:313件

抑圧は抑圧を産む。今も続くトンデモ治療

  • たまごボーロ さん
  • 2019年4月20日 2時09分
  • 閲覧数 794
  • 役立ち度 5
    • 総合評価
    • ★★★★★

実話ベースの問題提起。今こそ知るべき内容だった。
「同性愛を治療する矯正施設」、映像で見せられると改めてびっくりする。とんでもない人権侵害のうえ、性的指向に関する認識もめちゃくちゃだ。しかし建前上は善意のように見えるところが怖い。
あらゆる教育には少なからず洗脳の要素があるけれど、この施設は極端だ。「本来の自分を捨てて違う人間になれ」と責め立てられ続けるのだから、こんなに辛いことはない。LGBTの少年少女たちに自己嫌悪を持たせ、罪の意識を植え付ける。酷い虐待だ。自殺に追い込まれる子も出てくる。
オバマ政権時代、実際に施設で自殺者が出たことから大統領が治療禁止の声明を出した。しかし今でも多くの州では禁止法がなく、このアホみたいな「治療」が続いているという。

エドガートン監督が自ら、施設のカウンセラーを演じている。一見優しくも厳しい熱血先生っぽいが、言うこと為すことデタラメで胡散臭い、、と思ってたら、ラストにこのサイクス先生のその後が説明されて笑った。抑圧されている人は他人を抑圧するんだなあと思った。人間、自分に嘘をついてはいけない。周りも不幸にしてしまう。サイクス先生も、自己解放して幸せになっただろうか。
主人公のルーカス・ヘッジズが瑞々しくて素晴らしかった。青春映画としてもとても良い。彼の周りの青年たちも印象的でそれぞれ魅力的だった。しかし大学での初体験は明らかにレイプ被害であり、その後の経緯も含めて痛々しい。

両親役のラッセル・クロウとニコール・キッドマン。映画の最後にご本人の写真が出て、特に父親役のそっくりぶりがわかる。ラッセル・クロウのあの見事なたいこ腹は本物だろうか、、無理解ではあるものの息子を深く愛する父の心情が伝わってきた。キッドマンのちょっとイラッとする愛すべきお母ちゃんぶりもいい。夫に従い神に祈るだけだった彼女が、息子を守るために戦い成長する姿にも感動する。彼女のファッションがまるで大阪は天六あたりにいるギラギラのオバちゃんそのもので笑う。まさかキッドマンの関西オカン姿が見られるとは。
また、意外な人が出ていて楽しめる。治療を受ける仲間の中にグザヴィエ・ドランやトロイ・シヴァンも。そして前科者の高圧的なカウンセラー役にレッチリのフリー。ピッタリすぎる。
ちょろっと出てくる女医さんの言葉とスタンスがとてもよく、心に残った。

詳細評価

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