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男はつらいよ お帰り 寅さん (2019)

監督
山田洋次
  • みたいムービー 659
  • みたログ 2,183

3.92 / 評価:1,825件

比類なき幸福感。日本には寅さんがある。

  • shi***** さん
  • 2020年1月24日 21時56分
  • 閲覧数 1368
  • 役立ち度 5
    • 総合評価
    • ★★★★★

ああ、ああ、ああ。この幸福感。久しぶりに、2時間で終わってしまうのが残念に感じた。昨年末はターミネーターとスターウォーズで幻滅して打ちのめされたけれど、コレで全部帳消しだ。やっぱり映画はいい。もっと早く観にくればよかった。
お話は、寅さんの甥満男の、亡妻の七回忌から、昔の恋人泉と再会して別れるまでの、三日間を辿ったものである。ストーリーとしてはさほどドラマチックに展開はしない。ただ、合間合間に回想が入るのだが、この入り方が絶妙。本編の間に、旧作の名場面がカットバックされるのだが、デジタルリマスターされた旧作の場面は古さを感じさせない。細かいカット割りで過去と未来を行き来するので、一瞬これが新撮か旧作か、迷うほどである。そこはさすがに山田洋次監督、混乱させられることなど微塵もない。
他の方のレビューの中に、若者の会話がリアルでない、との指摘があったが、あれは山田監督の持ち味で、敢えてリアルな描写を避けて、寅さん映画独特の“映画時間”に観客を引き込むための仕掛けなのだと私は思う。だからこそ、何十年も前の旧作が、古臭さを感じさせないまま、今の映画と同じ地平で「過去」として認識できるのである。
現実とは違う、“映画時間”。“寅さんワールド”と言ったらわかりやすいか。そこには今私たちがいる世界とは違う、ゆったりとした時間が流れていて、映画の登場人物たちは、その世界の時間を生きている。わずか2時間の束の間、私たちはその世界を覗き見て、浮世の憂さを忘れる。映画とはそういうものであり、寅さん映画はその中の至宝、と言ったら言い過ぎだろうか。
「お父さん、この三日間、何処か違うところに、行ってたみたいだったから」
ラスト近くで満男の娘ゆりが、満男に向かって言う。そうだよ、君のお父さんは、いや、君も含めて、“寅さんワールド”という別の“映画時間”にいたのだよ。これから現実で辛いことも悲しいこともあるかも知れないけれど、この三日間、あなたもそんな“映画時間”の中にいたことを、忘れてはいけない。そうしたら、明日も強く明るく生きていけるから。
大袈裟に言うとそんなメッセージを、私は勝手にこの映画から受け取っていた。その世界では、おいちゃんは三人いてもやっぱり同じおいちゃんで、寅さんが惚れる女性は、揃いも揃って目の覚めるような美人ばかりだったんだ。
最後の満男の涙は、そんな“映画時間”が終わることへの、惜別の涙ではなかっただろうか。今度こそ本当に、寅さん映画は終わってしまった。でもさよならは言わない。ありがとう、とだけ言いたい。監督、寅さんファンの、映画ファンのみんなに、こんなに素敵な贈り物を、ありがとうございました。

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