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真実 (2019)

LA VERITE/THE TRUTH

監督
是枝裕和
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3.44 / 評価:490件

言葉や態度がなくても愛は伝わるもの

  • dr.hawk さん
  • 2019年10月21日 22時11分
  • 閲覧数 983
  • 役立ち度 6
    • 総合評価
    • ★★★★★

2019.10.16 字幕 イオンシネマ高の原


2019年の日本&フランス合作の映画
国民的女優とその家族の真実が自伝本によって揺らいでいくヒューマンドラマ
監督&脚本は是枝裕和


物語はフランスの大女優ファビエンヌ・ダンジュヴィル(カトリーヌ・ドヌーヴ)が自伝本を出版するところから描かれる

その記念パーティーに際してニューヨークから娘リュミエール(ジュリエット・ビノシュ)が家族とともに帰省した

リュミエールには夫ハンク(イーサン・ホーク)との間にシャルロット(クレモンティーヌ・グルニエ)がいて、リュミエールは脚本家として活躍していた

ファビエンヌの家はお城みたいな豪勢なつくりで、30年以上も秘書を務めているリュック(アラン・リボルト)と現パートナーのジャック(クリスチャン・クラエ)が同居していた

そして時折、夫のピエール(ロジャー・ヴァン・フール)がやってくる(結婚を解消しているのかよくわからない関係)が彼はきまぐれ

ファビエンヌは事もあろうに、庭のカメに彼の名前をつけていた


リュミエールは母から出版前に原稿を読ませてもらう約束だった

だがその約束は反故にされ、本はすでに出版されていた

その自伝本のタイトルが『真実(La vérité)』である


物語はその自伝本を読んだリュミエールが「事実とは違う」と母に詰め寄るところから動き出す

ファビエンヌは「事実は退屈よ」とはぐらかすものの、リュミエールは「サラ」のことが書かれていないことが許せなかった

サラはファビエンヌの妹(姉かも)で同じ女優

実力はあるものの精神的に不安定で、そんな彼女をリュミエールは慕っていた

だが「事故」によってサラは死んでしまい、それはフランス映画界にとっても損失だった


さらに秘書のリュックも自分が自伝本に登場しないことを理由にファビエンヌの元を去ると言い出す

リュミエールはリュックの代わりを押しつけられ、仕方なく母の現場へと同行することになったのである


ファビエンヌはSF映画の撮影中で、内容は「年齢が逆転した母と娘」を描くものだった

その映画で共演しているののが「サラの再来」と言われるマノン(マノン・クラベル)

病気を進行させないために時間の流れの違う星に行く母

でも娘はどんどん歳を重ねて、そしてとうとう母の年齢を遥かに超えてしまう

年老いた娘がファビエンヌで、若き母がマロンという設定である

そんな中、女優魂全開のファビエンヌは若手監督に色々と申し出て、マロンは伝説の女優の重圧に晒されながら演技に臨むのである


映画を通じて母を知り、そしてどうして「サラの存在」を隠そうとしたのかを知るリュミエール

人生とは「自分に都合の良い脚色」によって再現されるもので、見られても良い部分とそうでない部分の存在にリュミエールは気付いていく

そしてファビエンヌのファンが観たいものに応えることが「仕事としての自伝本」であることが仄めかされるのである


ファビエンヌはリュックがいないと不安定で、彼を呼び戻すためにリュミエールの脚本で演技するファビエンヌ

だがあっさりとリュックに見破られ、自分の言葉で語らなくてはならなくなる

リュックはファビエンヌの本心を知りたかっただけで、自伝本に載るかどうかは気にしていない

人とは自分の知りたいことのために「お芝居をする」ことがあり、その本心(真実)を明からさまにすることが全てではないのである


ラストシーンではシャルロットがファビエンヌを癒すシーンがある

笑顔の祖母に満足し、そしてリュミエールの元に戻った娘は「これも真実なの?」と訊く

時として演出される真実はその人の心にふれるための「優しい嘘」であり、その必要性にリュミエールは気づいていく

サラのことを本当に思っていたのはファビエンヌで、彼女のことを書かないことこそが「愛」なのであろう


いずれにせよ、愛にあふれた家族の「万国に通ずる物語」だった

フランスの家族というものがどういうものかわからないが、この映画に出てくる家族の諍いや和解などは理解できる部分が多い

また亀にピエールと名付けるファビエンヌは関係を解消したあとも彼を愛しているのかなと感じた

そこにいるという安心感

私は速く歩くけど、休憩する時もあるし、その時は近くにいてというメッセージ

それはお互いを縛らない自由があり、束縛することが愛ではないというスタンスなのだろう

愛とは対象者への尊厳にあふれるもの

そう考えると、この映画の母娘の夫婦はお互いを思い合える大切なパートナーなのだなと感じた

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