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上映中

宮本から君へ (2019)

監督
真利子哲也
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3.72 / 評価:467件

【100点】「生きてる奴はみんな強え!!」

一言で言うならば、少年ジャンプ系バトル映画です。

前作「ディストラクション・ベイビーズ」で卓越した暴力描写を真利子哲也監督、真利子組の池松壮亮、被虐系めんどうくさい女を演じさせたら当代一の蒼井優、その脇を井浦新、柄本時生、ピエール瀧に固めさせたら、面白くないはずないですよ。座組の時点でもう100点取ることは決まっていた作品です。

さて、愛(チラシでは愛と書いて「たましい」と読ませています。なるほど!)の暴力性と自己完結性がテーマの本作品。鑑賞しながら園子温の名作「愛のむきだし」を思い出していました。暴力を使った真利子監督的、愛の表現。炸裂していましたね。

愛の暴力性に注目すれば、劇中登場人物が愛を表現する場面のすべてが声(叫び)と拳(ステゴロ)で表現されていることにグッときました。肉体的な痛みを通して、愛の一方的かつ暴力的な本質が違和感なく伝わってきました。

①靖子に降りかかる悲劇→②靖子から宮本に対する暴言(宮本の敗北)→③ある人物との戦いでの宮本の敗北→④宮本の勝利(決定打のサブリミナル表現がよかった)→⑤宮本と靖子の最終決戦(あんな暴力的なプロポーズシーン始めてみました)→⑥宮本の勝利という一連の戦いの中で、宮本が悲劇や敗北を糧にし、パワーアップを繰り返し、より強くなっていく構造がまさに少年ジャンプ的バトル漫画の様相で、見ていてわくわくしました。
その構造の中で宮本の靖子に対する愛のパワーインフレも描いてしまうのだから、この脚本は見事だなと思わされました。

また愛の自己完結性というテーマでは、宮本家、中野家、真淵家の3家族の親子関係を通して、親子愛が単なる自己完結にすぎないものを描いています。(だからこそ暴力的であるとも言えますね)また宮本の靖子への愛も、靖子の宮本への愛も結局は自己満足的なものであり自己完結的なものであることを描き切っています。その自己完結的な思いが爆発して、表出するから暴力的にならざるを得ない。そして互いに殴り合った後に、真の友愛が芽生える。まさに少年ジャンプ!!

この過激なテーマ性を持って、映画を撮るとなるとかなりハードルが上がります。こんなものそのまま撮影したら、非現実的な話になってしまいます。ところがこの作品はそれを2つの表現技法でクリアしています。

まず、池松壮亮と蒼井優の過剰な演技。この2人の名優の過剰なのにどこか現実のみのあるギリギリの演技のおかげで、本作のリアリティラインを下げることに成功しています。おかげで観客も「暴力性を表現したいから、現実性を排除して過剰な表現をしているんだな」と自然に物語に乗っかれます。

加えて、物語の外部を見失わないバランス感覚があります。作中の拓馬(一ノ瀬さん、すごい演技でしたね。本当に怖い人オーラが出ていました)の「警察呼びますよ」というセリフや最終盤で、ちゃんと救急隊が来る場面を使って、この作品が現実社会に立脚していることをしっかりと示せていました。

他にも褒めたいところがたくさんあります。
・お家芸の暴力描写。宮本の血がマンションのドアにピッと飛ぶ場面なんて最悪(誉め言葉)でした
・宮本と靖子のセックスシーン。おいおいそのプレーをもってセックスを表現するのかよ!と爆笑してしまいました。
・蒼井優の被虐的かつ暴力的な女性像の表現がすばらしい(白石和彌監督の「彼女がその名を知らない鳥たち」でも卓越していました)
・金魚を使った、平穏→暴力による平穏の崩壊→宮本の動揺→風間が実は常識があること→幸福と不幸の表理性という5段階のメッセージを表現する手法(金魚5段活用)がオシャレ
・食卓を使って、宮本も靖子も生活がままならいことを表現するフード描写
・戦いの前の靖子と宮本の大食い対決(あんな斬新な炊飯ジャーの使い方があったんですね)
・暴力シーンの音の表現。見事でした。特に指の場面は、うわぁ。それは痛い!最悪!(最高!!)と思いました
・熱さだけを全面出したエンドクレジットのイメージ映像
・ピエール瀧の顔圧(まさに顔相撲!!)

うん。100点です

笑えて、痛くて、心に熱いものがこみ上げる。最高にエンターテイメントしている作品でした。
「愛のむきだし」とセットでおすすめです!!

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 笑える
  • 楽しい
  • かっこいい
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