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宮本から君へ (2019)

監督
真利子哲也
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3.75 / 評価:428件

解説

熱血営業マンが悪戦苦闘しながら成長する姿を描いた新井英樹の漫画を、実写ドラマ化に続き映画化。原作の後半を基に、主人公とヒロインに訪れる試練を映し出す。ドラマ版に続いて主演の池松壮亮をはじめ、蒼井優、柄本時生、星田英利、古舘寛治、松山ケンイチが出演し、ドラマ版の監督を務めた真利子哲也が続投。映画版キャストには井浦新、ピエール瀧、佐藤二朗、さらに元格闘家の一ノ瀬ワタルが新たに参加する。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

文具メーカーの営業マン宮本浩(池松壮亮)は、営業スマイル一つできない不器用な人間だが、正義感は人一倍強かった。会社の先輩だった神保(松山ケンイチ)の仕事仲間・中野靖子(蒼井優)と恋に落ちた宮本が彼女の自宅に招かれた日、靖子の元彼・裕二(井浦新)が姿を現す。宮本と寝たと話す靖子に激怒した裕二に、宮本は「この女は俺が守る」と宣言する。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)2019「宮本から君へ」製作委員会
(C)2019「宮本から君へ」製作委員会

「宮本から君へ」醜さからも愚かさからも目を背けさせない池松壮亮の強烈な存在感

 痛くて、愚かで、熱い人間模様だ。度し難いほど醜い人間たちも出てくる。しかし、本作には目を背けることを許さない異様な引力が働いている。

 原作者、新井英樹の漫画は良く言えば正直、悪く言えば露悪的かもしれない。本作もまた不快だと感じる観客は確実にいるだろう。しかし新井英樹は、醜さも含めてまるごと人間と向き合っている。本作はそんな原作漫画の精神を忠実に引き継いでいる。

 不器用なサラリーマンの活躍譚を描いて好評だったTVドラマ版とは全くトーンの異なる本作で描かれるのは、壮絶にみっともない復讐劇だ。愛する女性を守れなかった宮本が、その不甲斐なさに押しつぶされたくなくて、思いつめて始める自分勝手な復讐でしかない。真利子哲也監督は、それを不器用な男のロマンティシズムとして描かない。本作は復讐のカタルシスともヒロイズムともまるで無縁で、突き放した態度に貫かれている。

 本作の事件は、日本社会に根深く残る体育会系的コミュニケーションから端を発するが、観ていて苦しくなるのは主人公の宮本もまたそうした価値観の持ち主であること。取引先との飲みの席に彼女を同席させねばならないとは酷い話だが、現にそういうことはある。問題が根深いと思うのは、これが一般的な企業の営業マンたちであること。ピエール瀧が怖い顔して出演しているが、決してヤクザなどの特別な世界の住人ではないのだ。

 愚かな言動ばかりにもかかわらず、宮本から目を離せないのは、魂を振り絞るかのような池松壮亮の名演のおかげもあるが、そんな愚かな一面を我々もまた抱えているからだ。宮本はあまりにも正直に愚かさをさらけ出せてしまう。そのせいで、愚かなはずなのに、時折誠実にすら見えてしまう。

 世界は理不尽で、社会には許しがたい人間がいる。しかし、我々もまたそんな社会の一員であり、情けない主体を抱えて生きているのだということを忘れないために、こういう映画はつくられるべきなのだ。(杉本穂高)

映画.com(外部リンク)

2019年9月19日 更新

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