あらすじ・解説
シリアと同じように長い内戦を経験したレバノンの首都ベイルートでは、建設ブームが巻き起こり、高層ビルの建設現場では多くのシリア人移民・難民の労働者が劣悪な環境で働いている。ある男はベイルートで働いていた出稼ぎ労働者だった父親の記憶を回想し、「労働者は戦争が国を破壊し尽くすのを待っているんだ」と語った父親の言葉を思い出す。
シネマトゥデイ(外部リンク)
予告編・動画
作品レビュー(3件)
- gla********
3.0点
建設工事の風景と、戦争による破壊の映像が繰り返し流され、主人公と思われる人のナレーションのみという、ドキュメントというにはなかなかそれらの事象を結びつけるには難しい作品。 途中どうしても寝てしまったが、彼らの国で起きている背景をもっと知っていれば感情移入出来ると思う。
- j9i********
4.0点
建設ラッシュのベイルートの姿が東京に重なる。 コンクリート建造物が積み上る姿とコンクリートの家々が破壊される姿。 少ないセリフは、出稼ぎの父親の思い出を語る男の声のみ。 男の声が語る父親の匂いと手の話は、私の郷愁にも重なる思い出で胸に響いた。 シリア人出稼ぎ労働者たちは黙々と働き、時間がくれば穴倉のような宿泊所へ帰る。夜の外出は許されない人々。 回転する重機 回転する戦車砲台 泣き叫ぶ子 瓦礫の下を懸命にはい、押し潰された人を助けんと奮闘する市井の人々 マニアなら美しいと感嘆するような工事現場の陰影。きらめく空、きらめく海。 子供の頃、テストにでだ法隆寺を作ったのは誰?大工と答えるとタチの悪い子と思われる。 もし、現代の映画のエンドロールに制作関係者一同の名前を入れるように、出来た家、出来たビルに関係者一同の名前を彫らねばならないなら、ベイルートもそうだが、日本でも外国人の名前だらけだろう。 建築には外国人はいない、いいえ、建築現場の足場は外国人が担ってるんですよ。 今日、ぷらぷらと花見をしながらユーロスペースは行った。 花と新緑に囲まれた私。 産まれたときから粉塵と灰色のブロックにに囲まれている人々。 互いの描く風景画の違い。 遠くの人々には手が届かない。 せめて日本に来る労働者のおかげで私の生活はあると心したい。 PS コンクリブロックに筋は入れないのね。 天災より人災の可能性が高いところでは筋は無い方がいいのかな、と想像。
- kom********
5.0点
15年にわたる内戦終結から20年、 再建されるレバノンで建設中の高層ビルが舞台。 そこで働くのは、現在進行形で戦火から逃れてきたシリア難民。 映画では、 美しいベイルート海岸沿いの高層ビルと攻撃を受けるシリアの街、 破壊されるセメントの記憶、建設するセメントから彷彿する父の記憶、 美しい映像と目を覆いたくなる映像、 シリアの戦車砲撃とレバノン建築現場の鉄骨の音と振動、が交差する。 特定の主人公や登場人物を設けず、彼らの自然に発する言葉をつなぐ。 それは「名もない、忘れられた人たち」を描いたという意図か。 監督自身がシリアの映像作家。 アサド政権の為の映像を手がけた経験もありながら、 同じ国民て殺しあう徴兵制度から逃げる様にレバノンへ去った。 その苦難の人生が、この映画を生み出した。 「戦争が終わる街を目指す、再建の仕事があるから」のセリフが悲しい。 すべてに美しさと悲しみを禁じ得ない、秀逸作でした。
スタッフ・キャスト
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