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泣くな赤鬼
2019年6月14日公開

泣くな赤鬼

1112019年6月14日公開

yab********

4.0

柳楽優弥に「青鬼」を見た

人間ってないものねだり。怒られるよりほめられたい。努力とか過程はたくさん。レギュラーなれないなら野球やってる意味がない。そういうタイプAもいれば、期待されたい、怒られたい。そうやってレギュラーを獲得したい。努力は絶対報われる。そう信じてやまないタイプB。そんな真逆のタイプが、お互い自分にない面を持っている相手を羨む。  そんな部員たちを指導する「赤鬼」と呼ばれた監督は、努力は報われると信じてやまないタイプ。怒って育てるタイプ。怒るということは期待の裏返しなんでそれ察しろよというタイプ。彼は娘に「人の弱いところを見る勇気がない」と言われる。  難しいよ。この3人が同じ方向に向かって共鳴し合うことなんて。スポ根ドラマだったら無理やりそうするんだろうけれど。  本作のターニングポイントは、タイプAが言った「たかが野球」というひとこと。彼には「されど野球」はない。「されど野球」がそこに入ると、何のために野球をやるのかということになって、人間的成長とかの精神論になってしまう。タイプAはただ野球が好きだっただけ。そこに意味はない。好きなことだからけなされたくない。ほめてもらって気持よく野球がしたい。ただそれだけのこと。  けれど、ただそれだけのことを演じれる俳優はそうはいない。柳楽優弥はまさにはまり役(高校時代を演じた堀家一希も良かった)。本作を観て、幼い頃読んだ『泣いた赤鬼』を読み返した。彼のまさに鬼気迫る表情や姿が、どうも赤鬼の自己実現の犠牲になって姿を消した(本作では病死)青鬼に見えてしょうがなかった。そう思った瞬間、堰を切ったように涙が止まらなくなった。

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