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嵐電 (2019)

監督
鈴木卓爾
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2.73 / 評価:127件

渡月橋で振り返ってしまったのかなあ

  • dr.hawk さん
  • 2019年6月14日 7時16分
  • 閲覧数 1963
  • 役立ち度 14
    • 総合評価
    • ★★★★★

2019.6.13 テアトル梅田


2019年の日本映画
京都市右京区を舞台に、嵐電界隈に住む人々とそこを訪れる人物との間に起こる恋愛模様を描いた作品
監督は鈴木卓爾
脚本は鈴木卓爾&浅利宏


物語は京福電気鉄道の北野線龍安寺駅にて嵐電が交差する様子が描かれて始まる

最終電車が通り過ぎたあと、「私たちの時間ね。今日は狐と狸が来る日よ」という言葉がスクリーンを過ぎった


翌朝、嵐山本線の山ノ内駅付近にひとりの男が佇む
彼の名は平岡衛星(井浦新)
鎌倉から来たノンフィクション作家で、「嵐電にまつわる不思議な話」を取材しに訪れていた

彼は西大路三条駅近くの安アパートを借りて執筆作業を開始、夜になると妻・斗麻子(安部聡子)に電話を掛けていた

ある日、彼が太秦広隆寺駅にて嵐電を待っていると、そこに8ミリカメラを構えた地元の高校生・有村子午線(石田健太)がやってくる

彼は嵐電をフィルムに収めることw生業とする鉄オタで、そんな彼に一目惚れするのが地方から修学旅行に訪れていた北門南天(窪瀬環)であった


そんな折、太秦の撮影所では注文された弁当を運ぶ小倉嘉子(大西礼芳)の姿があった

嘉子は撮影クルーの助監督・川口明輝尾(福本純里)から、東京から来た俳優・吉田譜雨(金井浩人)の京都弁をチェックしてほしいと頼まれる

嘉子は断るものの、勢いのまま彼の指導を行うようになり、台本の読み合わせに参加、遂には作品に出演するまでになっていた


物語は3つのカップルの恋愛劇を描いていて、それらは「うまくいっていない」あるいは「うまくいかなかった」顛末を紐解いていく

彼らは都市伝説でもある「狐と狸が車掌をしている妖怪電車」と遭遇し、乗り込んでしまう

伝説では「相思相愛のカップルがその電車に乗ると別れる」というもので、実際に乗ってしまった若者2組の恋愛は悲恋となってしまった


この物語は衛星の現状における不安を払拭するために訪れたこの地で、2組の恋愛模様に関わることで、自分の変化に気づくという流れになっている

実際に衛星が深く関わるのは南天と子午線の恋愛で、子午線の「好きなものを撮っていたら、いつの間にか撮っていたものが好きになった」という言葉に出会う

淡くて若い初恋の、それでも距離が隔てるであろう悲恋

このふたりの関わりの中で、かつての自分たち夫婦のことを思い出すのである


この高校生カップルと並行して描かれる嘉子と譜雨の恋愛

このエピソードがこの映画の核であろうか

自分に自信がなくて人とうまくつきあえない嘉子は、恋人関係の台本を読み合わせしていく中で、いつの間にか譜雨に恋をしていた

その自分の変化に追いつけずに、恋が始まる前に終わりを告げてしまう

後半で嵐山で撮影をするシーンは嘉子が思い描いた「後悔が見せる夢物語」であろう

これに付随するように、子午線を追いかけてくる南天のシーンも、子午線が思い描いた同じものであった


衛星がカフェのマスター・永嶺巡(水上竜士)と語り合うシーンで、「自分が変わったのではなくて、人に言われて変わったと思う」という台詞があるのだが、衛星は妻と距離を置いてしまう生活の中で「ふたりの関係の変化」を恐れていた

だが妻は変わらずに夫を愛しているし、彼が見た「嵐電に乗る自分たち」は彼の恐れが見せた幻影であろう

衛星は自分の行動を振り返りながら、このままで良いのかと悩んでいて、原点回帰として妻の出身地であるこの地を訪れた

そこで過去の自分にふれ、地元民と来訪者の恋愛にふれる中で、自らを見つめ直すのである


狐と狸の夫婦漫才のラストでは「自分のことしか考えてなかったわ」とそれぞれが言い合うシーンがある

この物語に登場するそれぞれのキャラクターは色んな意味で「自分のことしか考えていなくてうまくいかなくなっっている」状態に陥っている

目の前の恋愛がすべて自分の感情を中心に動いていて、その状態を叫びに変えたのが嘉子だった

この叫びのあと、譜雨が嘉子にキスをする

この想いを受け止めきれなかった嘉子は、辿るように姿を消してしまった譜雨を想像の中で追いかけ続けてしまうのである


いずれにせよ、かなり観客に解釈を委ねる映画であり、捉え方は千差万別だろう

ここに書き記したレビューも個人的な感覚でしかなく、共感を得られるかどうかはわからない

舞台が嵐電であり、その近辺に住んでいたことがある者(地元民ではない)としては、随所に映し出される景色には感慨深いものがあった

京都にはこう言った風変わりな映画が似合うと思うし、深夜にひとりだけで乗る嵐電には自分以外の誰かが乗っているように感じるのもあながち錯覚で
はないのかもしれません

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