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コレット (2018)

COLETTE

監督
ウォッシュ・ウェストモアランド
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3.39 / 評価:125件

書くことで自分を知り、喜びを遺す旅に出る

  • dr.hawk さん
  • 2019年5月24日 5時37分
  • 閲覧数 407
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

2019.5.23 字幕 TOHOシネマズなんば


2018年のイギリス&アメリカ合作の映画
実在のフランス人女性作家であるシドニー=ガブリエル・コレットの前半生を描いた自伝映画
監督はウォッシュ・ウエストモアランド
脚本はリチャード・グラッツァー


物語はフランス・サンソヴールに住むシドニー=ガブリエル・コレット(キーラ・ナイトレイ)の元に、後の夫となる作家のアンリ・ゴーティエン・ヴィラール(筆名:ウィリー、演:ドミニク・ウエスト)が訪れるところから紡がれる

コレットに惚れ込んでいたウィリーは、遂には彼女を射止め、1893年からパリでの居住を開始した

ウィリーは著名な作家であり、彼の作品には多くのゴーストライターが執筆している状況
彼はは華やかりしベル・エポック中、あるサロンに彼女を連れて行く

戸惑いの中、自己主張の塊のような醜さに呆れるコレット

そしてそんな生活に慣れてきた頃、一通の投書からウィリーの不倫が発覚する
「男の性だ」と宣うウィリーに対し、コレットは怒りのまま実家へと舞い戻った

コレットは夫の浪費癖を許せず、それを肥やしだと嘯く態度が許せなかった
だがウィリーは再三にわたって頭を下げ、コレットに懇願する

コレットは「すべてに関与する」という条件の元、彼を許すことに決めた


物語はゴーストライターへの支払いが滞り、家財道具が差し押さえになるところから動き出す

書斎の机の引き出しから見つかった「学校のクロディーヌ」の原稿

読み返したウィリーはふたりで推敲を重ねて出版へとこぎつける

それは瞬く間にヒットを重ね、ふたりは一躍スターダムへとのし上がる

だがウィリー名義の出版のため、コレットが名声を浴びることはなかった


劇中において、ふたつの人生の転換期が描かれる

ひとつめはウィリーの不倫で帰省したときに母シド(フォオナー・ショウ)からかけられた言葉「自分らしい人生を生きて」である

この言葉によってコレットはウィリーと対等以上の関係性を築くことを決め、結婚生活がウィリーの完全主導ではなくなってくる

だが後半ベルブーフ公爵夫人ミッシー(デニース・ゴフ)との会話の中で「注文が多いけど自由」と言ったコレットに対して、「それでも縛られている」とミッシーは返す

これが二度目の転換期であり、ウィリー名義で出版されてきた「クロディーヌ」シリーズは、読み手の中では「ウィリーが書いたのではない」と感じる人がいるという指摘である

これはウィリー自身がコレットの文章を批評したときに「女々しい」という言葉を使い、読者層が彼の思惑とは違った「若年層の女性」だったことに由来する

女性的な感性で書かれた小説を、女性蔑視のウィリーが書けるのか?

フェニミズムに敏感な先鋭たるミッシーにとっては、権威主義の象徴のようなウィリーが執筆したとはとても思えないからである


ウィリーは作家として著名だったが、自身の執筆によって後世に名を残すことはなかった

彼の才能とは、マーケティングに長け時代の流れを感じる才能であり、いわば「編集者として有能」という範疇である

言葉を扱うので流暢な美辞麗句に長けてはいるものの、それは内面を表現する言葉ではない

それに対してコレットは内面表現に長けており、感覚的に情感と情景を重ねる才能がある

コレットに足りなかったのは「読者層の感覚」であり、比喩表現を形容詞に頼り切るバランスの悪さを指摘されている

ウィリーはそう言った作家の癖を直感的に感じ取る才能があり、このふたりの関係性が続いていたとすれば彼の名も後世に残ったかも知れない
(この他者に対する指摘を自身の作品に落とし込んで、自ら執筆をするという前提ではあるが)


ふたりの関係性の破綻は「文化的遺伝子の破棄」によって決定的となる

作品に対する考え方が根本的に違い、これは修復しようのないものであった

起点は経済的理由であったとしても、作品に込められた感情はコレットにとっては我が子同前なのである

この感情を理解できなかったのは、ひとえに自分で執筆しない名義貸し作家に甘んじた時間が長かったからであろう


いずれにせよ、女性蔑視の時代に燻っていた「女性の自我の目覚め」を解放したのがコレットであり、その自由な生き方は選択肢を与える

この映画ではウィリーとの出逢いと別れ、「クロディーヌ」シリーズの幕開けを描いているが、彼女の人生はその後もとても興味深い

バレエの脚本を手掛け、第一次世界大戦中はジャーナリストとして活躍、自宅を野戦病院として開放、夫がゲシュタポに連行されるということもあった

1944年発表の『ジジ』のブロードウェイでの舞台化の際にオードリー・ヘップバーンを抜擢したという話も有名である

あと2、3本普通に映画が作れそうな人生

まさかの自伝映画の続編があったとしても驚かない人物である

詳細評価

物語
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