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ドラゴンクエスト ユア・ストーリー (2019)

DRAGON QUEST YOUR STORY

監督
八木竜一
花房真
  • みたいムービー 1,969
  • みたログ 5,661

2.56 / 評価:4998件

怒りと悲しみでどうにかなりそうです

  • tnd***** さん
  • 2019年8月11日 20時52分
  • 閲覧数 21917
  • 役立ち度 317
    • 総合評価
    • ★★★★★

妻に連れられて一緒に映画を見てきました。

妻は15年来のドラクエ5好きで未だに繰り返しプレイしていたり、イラストを描いたりしていてドラクエ5が趣味と言っていいほどです。
私自身は妻ほどの思い入れこそありませんがプレイしたことはありますし、妻が大好きなものとしてリスペクトしています。

別々の趣味を持つ我々夫婦は自分の趣味に相手を付き合わせることをお互いにあまり好まないのですが、予告映像をみた妻から珍しく誘われました。
映像が素晴らしく、ドラクエ5の感動を共有したくなったとのことでした。

映画館に行くまで「映画の尺で纏めるなら大規模な改編をするかも、繋ぎを放棄して名シーンの羅列になるかも、ドラクエ5のテーマが表現されてるといいな」などと私に楽しげに話してくれていました。

いざ映画が始まるとダイジェスト感は否めないもののストーリーを何とか纏めようとしているのだろうと思えましたし、映像のクオリティが素晴らしかったので自分で物語を補完しつつではありますが楽しめていました。
勇者が天空の剣を手にしたシーンは特に引き込まれ、来て良かったと思いました。
私以上に妻も楽しんでいたと思います。
問題のあのシーンまでは。

あのシーンを見たときに最初に思ったことは「妻は大丈夫かな?」でした。
ドラクエの映画として宣伝されていたものをみて、ドラクエの世界に浸ろうと足を運んだ人に、一時間以上に渡りドラクエの世界を見せ、思い出フル稼働の感情移入をさせた末に、それは虚構で幼稚で魂の入っていないものだと踏みにじる全く別の物語が始まるのは流石に酷すぎないかと思ったのです。それがたとえテーマを伝えるための前段階の逆説的アプローチだとしてもです。

そしてここからの「フィクション作品愛好家の肯定」がこの映画の伝えたいテーマだとするならばドラクエである必要性は皆無です。
観客のドラクエ体験を前提としたダイジェスト構成でなければ主人公のフィクション作品への愛を描けなかったでしょうか。そうは思いません。ドラクエとして宣伝し集客するためだけに利用されたとしか思えません。

妻の今までのドラクエの思い出とこの映画を見て感じていたドラクエへの思い、そしてドラクエ5の本来のテーマはこの映画の伝えたいテーマの為の犠牲としての役割しかなく、ただただ踏みにじられるだけの格好になったように思えてしまったのです。

そのテーマ自体もあの脚本演出で伝わるとは思えません。少なくとも私には伝わりませんでした。主人公の主張に説得力を持たせる積み重ねはなく取って付けたようなセリフは逆にラスボスの主張をさらに強固にしているようでとても悲しく、ドラクエを貶めているとすら感じてしまいました。
また、ドラクエでなくとも成立してしまう展開のせいでドラクエに限らず全フィクション作品を貶めることにも繋がるのではとまで思ってしまいました。

上映後、妻を心配して声をかけようとしたら先に向こうから「あんなどんでん返しがあるとは意外だった、こういう作り方もあるんだね」と笑顔であっけらかんとした様子で言われました。
懐の深いドラクエファンは案外受け入れるものなんだなと少々驚きましたが、自分より何百倍もドラクエが好きな妻が楽しめたのなら自分の性格の悪い感想は言わずにいようと心にしまいこみ、その後は映像のクオリティや声優の演技や結婚イベントの扱いなど良かったと思った点を話し大いに盛り上がりました。

その夜、先に寝てしまった私がふと目を覚ますと妻はまだリビングにいるようでした。
様子を見に行くと、妻はDSのドラクエの画面を開きながら泣いていました。
どうしたのか聞くと「やっぱり我慢できなかった、映画のあのシーンがツラくて悲しい」と教えてくれました。
私はそこで初めて、彼女もショックを受けていたこと、一緒にみた私を気遣って気丈に振る舞っていたことを知りました。
その事に気づけなかった自分が情けなく、また自分がもっと怒っていればとも思いました。

これまでの妻はドラクエ5コンテンツに触れているときには必ず幸せそうでした。笑っているか、真剣に没頭するか、泣くにしても感動してでした。
そんな人が、本気で悲しんで、憤って泣いていました。

私はこの映画に正当な評価は出来ていないかもしれません。
ただ、ドラクエ5が大好きで、ドラクエ5から感動を、癒しを、勇気を、幸せを貰って生きてきた妻に大きな衝撃を与え、初めて悲しみの涙を流させた映画であることは確かです。
私は怒っています。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 絶望的
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