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蜜蜂と遠雷 (2019)

監督
石川慶
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3.51 / 評価:2010件

松岡茉優の「ウフフッ」

  • vontritri さん
  • 2020年6月1日 15時20分
  • 閲覧数 3033
  • 役立ち度 5
    • 総合評価
    • ★★★★★

う~ん。「石川監督、これはやってしまいましたね」というのが正直な感想です。今回のメインキャスト、つまり松岡茉優、松坂桃李、森崎ウィンそして鈴鹿央士の演技はどれも本当に素晴らしいです。

特に注目したのは松岡さんの目線や表情。とても考えられていて、隙の無さには感服いたしました。あの要所で見せる「ウフフ」なんですが、あれこそが人物の奥深さを物語っています。
思うに主人公の栄伝さんはその繊細さと天才性ゆえ、世間との乖離が幼少から激しかったんでしょう。自分の思いを伝える言葉もなく、いつ日ごろから「ウフフ」と笑ってごまかすしかなかったのでしょう。まさに処世術なのですが、いつ頃かそれが癖になり、自分自身がとらわれていったのではないかと思います。実はあの「ウフフ」の裏側には激しい激情が隠れており、それは物語の終盤で明らかになります。最後のシーンで松岡さんの「ウフフ」が止まらなくなっていますが、それこそが自分の「仮面」と「気持ち」が一致したシーンで、カタルシスを覚えます。当たり役だったのではないでしょうか。

などと語りたくなる一方、今回のメインキャストとそぐわない、異質の演技をしていた方もいました。監督はそれに対して何らかの修正を加えるべきですし、思い切って出番を削るべきだったと思います。
松岡さんの最後の演奏途中で妙なやり取りがインサートされるのですが…正直ムゴイです。本当にあれは要らないです。相米監督「しょんべんライダー」で倍賞美津子さんの場面が「映画の雰囲気全体をぶち壊した」と批評家の非難にさらされたのですが、それと同じものを感じます。

つまり総じてこの映画は「統一感」がないですし、「作家性」と「娯楽性」が遊離しています。トータルコーディネイターとしての監督の手腕は、残念ですが及第点はあげられません。
最後の字幕で監督の名前が一番最後に無いのですが、そういう謙虚さは監督業には要らないものだと思います。映画の監督とは「独裁者」であり「映画の神様の憑代」です。故大林監督を見習ってこれからも頑張ってください。

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