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上映中

タロウのバカ (2019)

監督
大森立嗣
  • みたいムービー 98
  • みたログ 126

2.73 / 評価:94件

刹那に居場所を求めて…

  • mai***** さん
  • 2019年10月19日 22時39分
  • 閲覧数 227
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

それが境遇から始まることなのか
ちょっとした躓きから始まった事なのか
それはわからないけれど
元々社会との繋がりがなかったり
あったはずの繋がりからはじき出されてしまったりして
自分がどこでどうしていたら良いのかわからなくなってしまった少年達。

『そんなの大人しくしてたら良いじゃんか』
そんな当たり前の反論は彼らの耳には届かない。

あれだけ蔑まれ
あれだけ敵意を向けられてしまったら
自分がここに居て良いのかどうかがわからなくなってしまう。
消えてしまいかねない自分の存在を
バカみたいに悪事に手を出すことで生きている事を実感する。
それこそ殴り殴られの暴力の痛みすら存在確認になってしまう。

白塗りの集団たちは、いわば彼らが踏み出した破滅への道。
冥府へようこそ、と誘っているかのよう。

タロウが母親のような女性に向けた敵意は
本当なら子供が普通に受け取れる愛情とか優しさを
育っていく間で受け取れなかったから、『それってどういう事なの?』を
尋ねているに過ぎないのだろう。
ユウキを喪ったアイコを抱きしめるシーンがあるから愛情を彼がわかっている
そんな風に思えるけれど、それはタロウがエージやスギオと一緒にいることで得られた『安らぎ』を彼女に分けようとしただけなんじゃないか。

だからこそ、彼らの行く末がああなる前に、誰かが優しさで包み込めていたら…
それは3人だけじゃなく
ヨウコも
タロウの母親も同じなのでしょう。
どこに自分の居場所があるのだろう?と彷徨う人たちの哀しさがある。

タロウの、真っ白な自分の心のキャンバスに『悲しみ』が書き加えられていった………あのラストの後の、彼の居場所はどこにあるのだろうか………


とにかく、YOSHI君に尽きる!
菅田将暉さんと仲野太賀さんを相手に回してのあの存在感。
映画を数多く見ていると、後に大きな存在になるような才能の開花する少し前を見ることが多くあります。菅田将暉さんなんかもその一人でしたが…
YOSHI君って何!? 化物!? ちょっと理解し切れない怪物を見た気がします。

役柄からしたら『永遠に僕のもの』の主人公カルリートスのような存在。
あまりにも無垢すぎて、善悪の判断すらつかない。
それ以前に、子供としてちゃんと育てられていたなら自然とキャンバスに描かれているハズの愛情とか優しさとかを、自分で学んで書き込んでいるような人物。
それをまるで遊んでいるかのように演じてしまっていたような…
徹頭徹尾、役を演じたというよりも撮影現場で遊んでいたんじゃないかと思えるような自由奔放さが、彼の内面から溢れていたような気がしました。

礼儀作法とか世の中のセオリーとかをキチッと理解しているような天才ではなく
ただただ『無垢』な天才なんじゃないかと思えました。

その『無垢』な部分を正邪でいえば正の方で体現していたのが
アイコとユウキの2人だったかなと。
2人の存在はこの作品の中での救いだった。
2人がいなければ、ただただ暴力だけで心が痛くなるだけの作品に終わっていたように思えます。

2019年10月19日シネマテークたかさきで鑑賞

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

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  • 知的
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