一口寸評
- nn1***** さん
- 2019年11月2日 12時34分
- 閲覧数 366
- 役立ち度 2
- 総合評価
前作『日日是好日』(18)は例外で、この監督のメインテーマはドロップアウトした人々を描くこと。
彼がデビュー前に書いた脚本の映画化というから、本作はまさに原点ではないか。
これほど刹那的で、死と隣合わせの青春は見たことがない。
母親からネグレクトされ、学校も行かずに育ったバカの代名詞としてのタロウ(YOSHI=圧巻の演技)は、エージ(菅田将暉)とスギオ(仲野太賀)といつもつるんでいた。
ある日、彼らはヤクザと争い銃を手に入れる…。
数々の暴力シーンよりも、障碍者たちが、金で廃墟のホテルに幽閉されているシーンに鳥肌が立った。
ダウン症の子らの出演とその熱演にも驚かされた。
「好き」という感情はわからなくても、「死」の辛さはわかる。
3人の絆は、タロウにとって「剝き出しの生」だったのだ。
昔の日活、東映あたりのプログラムピクチャーを思い出させる素材だが、このテーマ(ドロップアウトした若者の自暴自棄)はいまだに古びていないようだ。
むしろ今だからこそ、荒んだ親による悲惨な幼児期体験を経て、歪んだ人格にならざるを得なくなった若者が増えつつある現実を、恐怖とともに実感させられたのである。
詳細評価
イメージワード
- 不気味
- 絶望的
- 切ない
このレビューは役に立ちましたか?