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アナと雪の女王2 (2019)

Frozen II

監督
クリス・バック
ジェニファー・リー
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  • みたログ 6,277

3.79 / 評価:4791件

ディズニーによる新しい時代の王の物語

  • いくも さん
  • 2019年11月22日 12時01分
  • 閲覧数 14099
  • 役立ち度 288
    • 総合評価
    • ★★★★★

正直1作目のアナ雪は好きではなかった。

もちろん音楽と映像は素晴らしかったしキャラクターは魅力的だった。
けれど、あれだけクリストフが奮闘したのに結局は姉妹愛だったことがどうにも納得できなかった。
オラフの言う「自分より人のことを大切に思うこと」が真実の愛なのだとしたら、それこそアナのためなら溶けてもいいというオラフが究極の愛であるし、アナのために身を引いたクリストフもやはり真実の愛を示していた。
なのになぜエルサがアナの氷を溶かすことができたのか、ずっと疑問だった。

しかし、先日のテレビ放送を観ていてようやく気付いた。
エルサがアナの氷を溶かしたのではなく、「アナがエルサの凍った心を溶かした」ということに。
アナが愛されることが重要なのではなく、アナがクリストフに助けを求めるよりもハンスに殺されそうなエルサを身を挺して庇うこと= 「自分より人のことを大切に思うこと」でエルサに真実の愛を与え、エルサの凍った心が溶けてアナにかけてしまった氷の魔法も解けたのだ。

つまり前作はアナの心の成長を描いた映画だった。
アナがエルサを救った物語であり、エルサ本人の描き方はまだ足りなかったように思う。
そういう意味でこの続編は作られるべき作品だったと言えるだろう。


今作は早々に公開されたリード曲で歌っているように、エルサの魔法の秘密を解き明かすためにエルサとアナが冒険へ出る物語だ。
もちろんクリストフとオラフとスヴェンもいるが、クリストフが全面にサポートした1作目と違ってエルサもアナも1人で困難に立ち向かう姿が描かれる。
そんな2人はもはやプリンセスというよりも、国民を背負う王と言ってもいいだろう。

同じく今年公開されたアラジンでは、オリジナルにはなかったジャスミンの歌(レリゴーっぽい)が追加されていた。
昨今もてはやされるフェミニズムに合わせたものなのだろうが、確かにジャスミンと結婚するアラジンが一国の王になれるのかと考えれば難しいだろうし、彼女が自ら立ち上がり国を背負わなければならない。

冒険に繰り出すことも国のリーダーになることも、もう男だけの特権や責務ではなくなった。
かといって女性第一かといえばそうでもなく、クリストフもアナがピンチなときは共に困難に立ち向かう。
女だから男だからということではなく、各キャラクターが個人個人で自身のやりたいことや役割を果たそうとしていた。
人間ですらないオラフが様々な場面で活躍してくれるのがまさにそういうことだろう。


1作目では自分の感情を押しつけがちだったアナは、天真爛漫さもありながらきちんと大人の女性へと成長していた。
エルサも1作目は悩み苦しむ表情が多かったが今作では色んな感情を見せてくれる。圧巻の歌には鳥肌が立った。
クリストフは歌が1人だけミュージカルではなくMVのような演出で笑いを誘う。恋する男はアホでいい。
オラフは笑わせてくるわ泣かせてくるわの大活躍。個人的に声を演じるのは俳優でも声優でも関係ないと思っているが、ピエール瀧から変わったことを全く感じさせない武内駿輔には声優の本領発揮を見せつけられた。

自然との共存や男女の役割など現代的な問題を描きつつも、最後はこれぞディズニーという終わり方。
やはりディズニーはかくあるべきなのだ。




追記(ネタバレあり)
ストーリーについて批判もあるようなので補足を加えておく。

上述しているが今作はエルサの魔法の力の秘密を知るための冒険だ。
人は幸せであれば変化を恐れるけれど、「ずっと変わらないこと」なんてのは不可能で、年々日々変わることに向き合っていかなければならない。
エルサは「自分が何者なのか」を知る冒険へ行く決意をする。
1人で行こうとする彼女にしっかりした意見を言えるアナの成長が眩しい。

アレンデールの王子だった父とノーサルドラの民だった母のもとに生まれたエルサとアナ。
2つの国が争ってしまった原因は結局アレンデールの王だった祖父の謀略(つまり悪人は主人公側の人間)であったが、ノーサルドラの精霊の力を引き継いだエルサとアレンデールの王女であるアナが架け橋になる。
架け橋のたもとは2つ。エルサとアナが対等に2つの国を支えることで、人々と魔法の力が共存していけるということだ。

この魔法の力は水・火・風・大地であり、自然そのもの。
つまりは人が自然を支配するのではなく、自然と共存していくことを描いているように思えた。
自然を蔑ろにしてきた過去を反省し共存共生していこうというのがディズニー側のメッセージなのだろう。(津波のような水の襲撃をエルサが救うあたりは欧米のご都合感がまだ垣間見えてしまうが)

要するにディズニー版もののけ姫と言っていいのかもしれない。
サンは森でアシタカはタタラ場で暮らすというラストのように、エルサとアナは2つの国の王として自然と人々を結び支え合っていくのだ。

詳細評価

物語
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音楽

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