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人間失格 太宰治と3人の女たち (2019)

監督
蜷川実花
  • みたいムービー 584
  • みたログ 1,641

3.01 / 評価:1279件

予想に反してよかった!

  • pegasasuda さん
  • 2020年8月4日 8時06分
  • 閲覧数 764
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

蜷川さんということでギラギラカラフルバブリッシュかなと思っていたならば、太宰氏の実像に近い良作では!とても良かった!隅々まで配慮されていて久しぶりに文芸的な映画を見た気がしました。
安易なお涙路線でなくてよかったです。
作品「人間失格」のイメージから陰キャの文豪作家イメージが世間にあるようで、失望された方も多いのか評価が低くなっているのが残念です。
実際は人懐こくテンション高いときも多かったようです。
(有名なバールパンでの写真とかノリノリ)

自伝調の人間失格で、人の顔色を窺い「道化」を演じる自分、それを見ぬいた同級生の竹一を恐れ、(好意などまるでないのに)丁寧に耳かきしてやることで意図的に彼の好感度アップさせ支配下におく…というように、表面上は陽キャで人たらし技術に長けていたエピソードを記しています。
酒浸りや薬物や不倫で「道徳的に失格」感満載な小説ですが、ご本人的には他人の情を技術で弄ぶ罪悪感をそれ以上に「人でなし」と感じていたのではないでしょうか。
小説は過剰に陰鬱な展開になりますが、作家はノリノリになれば話を盛ります。主人公を思わせる作家が、執筆当時に小説と同等な程人生に失望して「失格」を憂いていたかというと実際は違うと思います。
「斜陽」がヒットしており、人間失格のあと次回作も執筆中でした。美女に妻役を頼み複数愛人たちとの縁切りをもくろむコメディ調の話です。(漫画っぽい!)
心中で未完になりましたが、心中の現場には強く抵抗した痕跡もあり、水もあまり飲んでいないことからメンヘラさんに嵌められた事故なのではという説もあります。今回の映画はこの説に近いものだったのでおぉ!?と思いました。
小栗旬のアレ?マジか?感がよかった。
でも心中(美談)のほうが本も新聞も売れるし文豪ぽいしね・・。

作家としては「人間失格」より「作家失格」するほうのがきっと怖かったと思われます。
ネタのためなら女房も愛人も泣かす、高尚ときわどい売れ線との迷い、当時の文壇の派閥争い等々、作家のサガ的にロック精神(反骨)や芝居っけのある性格や自身の小賢しさに難儀しながら、生臭く努力奮闘していたのではと…。

太宰治というと最近アニメなどでも過剰にイケメン神格化しているので、そんなつもりで見ると裏切られた感満載だと思うのですが、ダイナー(藤原君)みたいなかっこいいダークヒーローじゃないと思います。人間だもの。
そんな風に派手に描かれてるかと逆に心配してましたが、蜷川さんって普通に落ち着いたトーンの映画も撮れるのか!ととても感心しました。
史実もかなり調べているようです。実際の口説きセリフとか。

子供とインク遊びする泣きシーンは秀逸でした。外で浮気するのは見ぬふりしても留守中自宅に愛人が来てたらキツイ。花飾るとかてめーの縄張りじゃねえよ!
今まで見守ってきた執筆活動(インク)とかもうしらんわボケ!とか思うよ。うん。

各シーンで過剰なセリフを排してまとめて上手な脚本だなあと思ったのですが、最近のラノベ調の説明垂れ流しなセリフに慣れていると物足りなく思えるのかもしれません。
画面の絵面や俳優の表情から察するのが映画的で楽しいんだけどなあ。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • ロマンチック
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