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人間失格 太宰治と3人の女たち (2019)

監督
蜷川実花
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  • みたログ 1,271

3.08 / 評価:989件

ある意味、地雷を踏み潰した無頼

  • dr.hawk さん
  • 2019年9月20日 20時44分
  • 閲覧数 2858
  • 役立ち度 8
    • 総合評価
    • ★★★★★

2019.9.13 イオンシネマ京都桂川


2019年の日本映画
実在の作家・太宰治の半生を描いた自伝的映画
監督は蜷川実花
脚本は早船歌江子


物語は流行作家となった太宰治(小栗旬)の日常が描かれて始まる

彼には妻の美知子(宮沢りえ)の間に園子、正樹のふたりの子どもがいて、3人目(里子、のちに作家となる津島佑子)の出産を控えていた

それにも関わらず、酒とタバコと女に明け暮れる毎日

冒頭では小山初代との入水自殺未遂(初代のみ死亡)が描かれ、太宰はその死すらも茶化す外道ぶりだった

無頼派である彼は、坂口安吾(藤原竜也)、伊馬春部(瀬戸康史)らと酒で盛り上がり、三島由紀夫(高良健吾)からは批判を食らう毎日

そんな中、『斜陽』執筆の足がかりとして、太田静子(沢尻エリカ)との関係を深めて行く

さらに山崎富栄(二階堂ふみ)との逢瀬も重ね、破滅的で自堕落な生活は混迷を極めていった


物語はこの3人の女性が主役で、それぞれの欲に振り回されるかたちで太宰が堕ちていく様子が描かれている

太宰の愚行を包み込み耐える妻・美知子

太宰の一部となることに喜びを感じる静子

そして運命をともにすることで独占を果たす富栄

ある意味、それぞれが理想に近い生き方を貫いているとも言える


美知子の生き方はラストシークエンスの「太宰の死後」に集約されている

何気ない日常に戻る中で、世間の風を気にしない様は、太宰のすべてを受け入れている覚悟を感じる


静子の生き方もラストシークエンスにて満足そうな思い出と治子(太宰との子ども)の存在によって肯定されている


富栄は前述ふたりのように欠片を残せなかったが、死を以って独占を果たし、誰にも奪われないという目的を達している


この3者は太宰とのつながりを欲し、それは如実に「子ども」というかたちで描かれている

愛する人の子を産み育てることに女の幸せと生きがいを感じている時代性もあり、その点をクローズアップしたのが作風ということであろうか


それぞれが「太宰の死」によって得たものは特徴的で、「日常」を得た美知子、「社会性」を得た静子、「理想」を得た富栄という構図になっている

物語は太宰の転落を描いてはいるものの、鑑賞後の率直な感想は「3人の女性に転がされた男」のように思えた

もっともその生き方を選んだのは彼自身であり、映画で描かれない背景も含めて、多彩かつエッジの効いた人生だったと言えるだろう


監督の特色が濃いのである程度覚悟していたものの、思った以上に薄めではあった

それでも花が舞う演出やら、赤を強調するスタイルは物語から浮いているように感じる

だがこの映画で描きたかった3人の女性の描写に関しては感心する次第であり、それぞれが美しく、強く、そして儚さを感じる映像美があった

この3人を配置したのは正解で、特に狂気に満ちた富栄は彼女以外に考えられない

笑顔の奥に潜む「怖さ(男性陣にしかわからななかも知れない)」は、背筋が凍り、無理心中とされたという説もあながち間違いではないように思えた


いずれにせよ、主演が太宰っぽくないとか色々言われてはいるものの、3人の女性が執着する色気を兼ね備えると言った点ではチョイスは間違いないのかも知れない

文豪とか、知的さなどの再現性を求める内容ではないので、その辺りはオブラートに包んでも良いのかなと思った

それでも薄めとは言え作風は特徴的なので合う合わないはあると思うので、とんでも太宰を見せられる覚悟で臨む方が良いかと思われる

「君は僕が好きだよ」

この台詞に違和感がないところが本作の妙なのかも知れません

詳細評価

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