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ウィンナー・ワルツ

ウィンナー・ワルツ

WALTZES FROM VIENNA

77

カーティス

3.0

コアなヒッチコックマニア向け

「美しく青きドナウ」で有名なヨハン・シュトラウス2世の若き日を描いた作品。絶大な人気を誇る作曲家である父ヨハン・シュトラウスに認められず、苦しんでいた彼が、とある伯爵夫人と出会ったことを機に「美しく青きドナウ」の作曲に乗り出すというストーリー。 実在の人物を主人公にした作品ですが、ほとんどフィクションといっても過言ではない内容です。パン屋の工房を見て曲のリズムを思いついたり(ミュージカルタッチにしたら面白くなりそう!)、父を罠にはめてゲリラ上映を行ったりといった、荒唐無稽で絵的に映える見せ場で構成されています。そもそもシュトラウス2世が「美しく青きドナウ」を作曲したのはシュトラウス1世の死後のことなので、物語の前提からして史実に即していないわけです。もっとも父子の間に確執があったのは事実のようですが。 監督はサスペンスの神様として有名なヒッチコック監督。まだサスペンス重視の映画製作を始める前の作品です。ヒッチコック監督の作品は、サスペンスじゃなくても、絵づくりやカメラワークが凝っていることが多いのですが、本作はそういうのがほとんどありません。前述のパン屋を使った作曲シーンがちょっと独創的なくらい。とはいってもつまらないというわけではなく、かといって面白いというほどでもなく。ただただ無難です。 単体の作品としては悪くはないけど無難すぎて面白味がありません。伝記映画としてはフィクションが多すぎますし、音楽映画としては音楽シーンが少なすぎます。ファン的な見どころもあまりないので、ヒッチコック監督作をコンプリートしたい人ぐらいにしかおすすめできないという、ちょっとニッチな作品です。繰り返しにはなりますが、悪い作品ではありません。個人的には嫌いではないです。

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