ここから本文です

劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer (2019)

監督
田崎竜太
  • みたいムービー 121
  • みたログ 574

3.53 / 評価:433件

「1億総評論家時代」のエンターテイメント

先にネタバレ情報を見て「ええ・・どういう映画なんだよ・・」と困惑しつつも興味が湧いて観に行った。
・・凄かった。物語もテーマも演出も全て平成ライダー史を俯瞰したメタフィクションネタにして振り切った前代未聞の怪作であった。

悪ノリの極みであることは間違いない。
しかし私は決して単なるウケ狙いに走った悪ふざけだとも思わない。
本作の盛りだくさんのネタはどれ一つ取ってもちゃんと意味があるのだ。
その意味を考えれば考えるほど面白い。


・何故信長が登場したのか
オーズの映画やゴーストで既に信長は登場していて、平成ライダー世界はいくつものバラバラな信長の設定があることになる。
これこそクォーツァーが言う「平成ライダーは設定がバラバラでまとまりが無い」というヤツだろう。
語られている伝承によるイメージとはまるで別物だった魔王信長を見て、同じく魔王と呼ばれているソウゴは自分自身が思うように自由に生きることを学ぶのであった。

・何故仮面ノリダーが登場したのか
「仮面ノリダー」は無許可のパロディコントでありながら本格的な特撮・アクションも披露して同時期の本家であるBLACKRXよりも子供たちに人気があった。
東映を怒らせると同時にやる気を萎えさせて結果的に昭和ライダーの息の根を止めてクウガが始まるまで10年もの空白を空けさせたライダーの歴史に大きな影響を与えた男なのである。
(そのノリダーがBLACKRXのライドウォッチを使う敵に捕らえられているという皮肉・・!)
自分の存在を否定されたソウゴに
「俺はライダーと認められなかった。だがお前は違うだろう!」を激励するシーンは、かつてノリダーの存在を認められず訴訟も考えていた東映が最近になってノリダーを商標登録してノリダーネタを使うようになり
(ルパンレンジャーで「ぶっとばすぞぅ」と言ったり、とあるヒーローショーで
「アナザーノリダー」なる者が登場したらしい)
とうとう本人をライダー映画に登場させて、紛い物であってもその存在を肯定する・・まさしく「凸凹した平成ライダーの歴史を肯定する」という本作のテーマそのものを表しているのだ。
・・真面目に見ようとしても、どうしても笑っちゃうんだけどね。

・何故消滅させた者が復活したのか
「俺たちは瞬間瞬間の今を全力で生きている。だからどんな奇跡も起きるんだ」という理屈もへったくれもない答えで済ましていたが、どうやらライダーはそういうものだと東映は本気で思っているらしい。
すなわち「ライブ感」の肯定も意味する。
作品やシリーズ全体の理屈・整合性よりもその場の勢いと面白さを重視する・・仲間がいつも一緒にいる「今」が欲しい!そのために帳尻合わせなんていらないんだ!ということである。
平成ライダーは理屈や設定を重視することで人気が高まった一面もある。
しかしこれからは、どんなピンチになっても
「その時不思議なことが起こった!」の一言だけでどんな奇跡も起きてしまう
BLACKRXのような路線にも回帰したい。
舞台や漫画のライダーも登場させてライダーは何でもアリで限界を知らない概念だとしたい。
理屈を吹き飛ばす勢いと強さもライダーの一面としてこれからは愛しておくれよという東映の意思表明なのである。

・何故クォーツァーは「凸凹で醜い平成ライダーの歴史を一つにまとめる」という目的を掲げたのか
観終わった直後は「冷静に考えたら意味わかんねーよな・・どうしてそんなことする必要があるんだよ?」と思ったが
こんなのメチャクチャだと怒っている低評価レビュー群を読むと、大変失礼ながら全部クォーツァーが書き込んでいるように見えてしまって妙に納得してしまった(笑)
これぞメタフィクションネタに全振りした映画だからこそ成せるマジック。
作り手が作品を提供してファンが厳しく批評する。
それはある種の戦いであり勝負でありコミュニケーションである。
(平成はSNSの発達によりそのコミュニケーションが一気に活発になった
「1億総評論家時代」の始まりでもあった)
これは東映からの「そっちが勝手に固めてるライダー論なんて知ったこっちゃねーよ!平成ライダーの歴史は間違いなく何でもアリだったんだ!
年号も変わって否応なしに違う時代になる!これから先はついてこれる奴だけついてこい!」という宣戦布告なのだ。
今にして思えば昭和ライダーと平成ライダーを戦わすやらスーパー戦隊と戦わすやら、ファンに喧嘩を売るような企画ばかりしていたのはファンとの「戦い」を楽しんでいたフシがある。
良くも悪くも今の時代では批判も娯楽である。
何でもアリのメチャクチャが許せない人たちは東映のバカヤローは完全に開き直ってやがるので思う存分叩いてやるがよろしい(笑)

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 笑える
  • 楽しい
  • ファンタジー
  • スペクタクル
  • ゴージャス
  • 不思議
  • パニック
  • 勇敢
  • 知的
  • かっこいい
  • コミカル
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここま>
でです このページの先頭へ