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ワイルドライフ (2018)

WILDLIFE

監督
ポール・ダノ
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3.51 / 評価:80件

解説

『ラブ&マーシー 終わらないメロディー』などの俳優ポール・ダノが監督を務め、ピュリツァー賞作家リチャード・フォードの小説を映画化したヒューマンドラマ。アメリカ・モンタナ州を舞台に、崩壊していく家族が描かれる。『17歳の肖像』などのキャリー・マリガン、『ナイトクローラー』などのジェイク・ギレンホール、『ヴィジット』などのエド・オクセンボールドらが出演する。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

1960年代。ジェリー(ジェイク・ギレンホール)一家は、カナダとの国境近くにあるモンタナ州の田舎町へとやってくる。14歳の息子ジョー(エド・オクセンボールド)は、ジェリーがゴルフ場で働き、主婦の母ジャネット(キャリー・マリガン)が家事をこなす姿を見て、新たな生活が軌道に乗り始めたことを実感する。ところが、ジェリーが仕事をクビになって家族を養うために山火事を食い止める仕事に就き、ジャネットとジョーも働くが、生活は安定しなかった。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

「ワイルドライフ」14歳の少年の多感が画面から溢れ出る。初監督作とは思えない驚きのクオリティ!

 ポール・ダノは本物だった。初監督作でこのセンスのよさ!このクオリティ!驚くしかない。強烈にナイーヴなモラトリアム男子を演じた「リトル・ミス・サンシャイン」(06年)から13年。演技派の代表格となった俳優は、パートナーのゾーイ・カザンとのコラボ脚本で、余韻にひたひたと浸れる映画を創り上げた。

 1960年、モンタナ州の田舎町。14歳のジョー(エド・オクセンボールド)は仲の良い父(ジェイク・ギレンホール)と母(キャリー・マリガン)のもとで、穏やかな日々を送っていた。だが、父が失業したことで、少しずつ夫婦にほころびが現れる。突然、危険な山火事の消火に行くと言い出した父。「あなたは逃げてるだけ」と言い、濃い化粧をして出かけるようになった母。変わっていく家族のなかで、次第にジョーにも変化が訪れる。

 「いつか映画を撮るときは、きっと家族についての物語を撮るだろうと思っていた」とダノは語っている。すこしセピアがかった一冊の写真集を作るように、丹念に大切に、自身の思いを1シーン1シーンに封じ込めたように感じる。

 その大切な空間のなかで、登場人物たちがしっかりと息づいている。心は通じ合っているものの、なすすべもなく壊れていく夫婦。その様子を見つめるジョー。母の「女」の一面を見てしまった彼の戸惑いや嫌悪。父の残念な一面を見てしまったときの静かな諦観。14歳の少年の多感が画面から溢れ出る。まだ30代の父と母もまた「心を燃やすなにか」を探す、大人になりきれない男と女なのだ。それに気づいたとき、子は大人になっていく。

 ジョーが父に勧められたアメフトを辞め、街の写真館でアルバイトをはじめるくだりがなんともいい。おとなしく穏やかな少年が、自力で自分の居場所を見つけていく。この少年の横顔やそのたたずまいが、またポール・ダノ自身にそっくりなのだ!

 私生活では昨年、ゾーイ・カザンとの間に第一子が誕生したそうだ。次も家族の物語を撮るのだろうか。俳優として監督として、これからどんな世界を見せてくれるのか、本気で楽しみだ。(中村千晶)

映画.com(外部リンク)

2019年6月27日 更新

「ワイルドライフ」14歳の少年の多感が画面から溢れ出る。初監督作とは思えない驚きのクオリティ!

 ポール・ダノは本物だった。初監督作でこのセンスのよさ!このクオリティ!驚くしかない。強烈にナイーヴなモラトリアム男子を演じた「リトル・ミス・サンシャイン」(06年)から13年。演技派の代表格となった俳優は、パートナーのゾーイ・カザンとのコラボ脚本で、余韻にひたひたと浸れる映画を創り上げた。

 1960年、モンタナ州の田舎町。14歳のジョー(エド・オクセンボールド)は仲の良い父(ジェイク・ギレンホール)と母(キャリー・マリガン)のもとで、穏やかな日々を送っていた。だが、父が失業したことで、少しずつ夫婦にほころびが現れる。突然、危険な山火事の消火に行くと言い出した父。「あなたは逃げてるだけ」と言い、濃い化粧をして出かけるようになった母。変わっていく家族のなかで、次第にジョーにも変化が訪れる。

 「いつか映画を撮るときは、きっと家族についての物語を撮るだろうと思っていた」とダノは語っている。すこしセピアがかった一冊の写真集を作るように、丹念に大切に、自身の思いを1シーン1シーンに封じ込めたように感じる。

 その大切な空間のなかで、登場人物たちがしっかりと息づいている。心は通じ合っているものの、なすすべもなく壊れていく夫婦。その様子を見つめるジョー。母の「女」の一面を見てしまった彼の戸惑いや嫌悪。父の残念な一面を見てしまったときの静かな諦観。14歳の少年の多感が画面から溢れ出る。まだ30代の父と母もまた「心を燃やすなにか」を探す、大人になりきれない男と女なのだ。それに気づいたとき、子は大人になっていく。

 ジョーが父に勧められたアメフトを辞め、街の写真館でアルバイトをはじめるくだりがなんともいい。おとなしく穏やかな少年が、自力で自分の居場所を見つけていく。この少年の横顔やそのたたずまいが、またポール・ダノ自身にそっくりなのだ!

 私生活では昨年、ゾーイ・カザンとの間に第一子が誕生したそうだ。次も家族の物語を撮るのだろうか。俳優として監督として、これからどんな世界を見せてくれるのか、本気で楽しみだ。(中村千晶)

映画.com(外部リンク)

2019年6月29日 更新

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