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フラグタイム
2019年11月22日公開

フラグタイム

FRAGTIME

592019年11月22日公開

ryo********

5.0

いいものを観たという偽らざる思い。

まず、元ガチ洋画勢として(いま洋邦問わず勢)、2つ書いておかねばならない。 ■透明人間になれたら何する? この問いに対して100点の解答を示したのがポール・ヴァーホーヴェン「インビジブル」なら、時間を止めることが出来たら最初にすることってこうだよなと満点解答を示したのが本作だ。だって、森谷美鈴(以下、森谷さん)は村上遥(以下、村上さん)のスカートめくってパンツ見るんだぜ!大正解じゃないか! ■キーティング先生に怒られろ! 「いまを生きる」以来の、教室の机に立つ行為。いやお前、キーティング先生は違う視点を持てって言っただけで、誰が机の上に立って制服を脱げと…いや、笑みをたたえて褒めてくれるかな。森谷さんと村上さんは今日を掴んだのか! カーペディエム。「いまを生きる」久しぶりに観たくなってきたけどちゃんと書こう。 佐藤卓哉監督をはじめ、「好き」という感情一本勝負でフォール勝ちしてた癒しの名作「あさがおと加瀬さん」のスタッフによる新作。かなり楽しみにしていたのに忙しかったり体調崩したりしてる間に上映時間とタイミング合わなくて今日ようやく観られたのだけど、いやー、いい意味で裏切られた!加瀬さんよりちょっとエッチだったし(//∇//) エッチな部分のことじゃなく、チャレンジングな原作をチョイスして、加瀬さんと同じ路線を踏襲しなかった製作陣に万雷の拍手を送りたい。 森谷さんは過去の経験からコミュ障になってしまった女の子。話しかけられても会話が成立せず、時間を止めて逃げてしまうこともある。なんの取り柄もない。あ、1日に3分だけ時間を止める力を持ってます。 村上さんはスポーツ万能、成績も良く、気配りも出来るからいつも友達に囲まれているクラスの中心的存在かつ黒髪ロング美人。 ある日また時間を止めて逃げていた森谷さん。ベンチに座って読書してる村上さんに目が留まり、歩みよってパンツを見た。なんとはなしに。 すると村上さんが話し出して…DIOだけかと思ってたら、承太郎もだったみたいな展開! いや、村上さんは時間を止められるわけではなく、森谷さんが時間止めてる間に動くことが出来るって設定だからジョジョの件は言いたかっただけですすみません。 2人は2人だけの時間を獲得したことから急接近。 少々イチャイチャはするけど(もうちょっとしていいぞ)、普通に買い物したり、別れたわけでもないのに他の子とデートしてる彼氏にイタズラしたり(特に好きでもないのに付き合ってたという村上さんの色んな闇は後から判明する)、他愛もない日々を過ごしていくけど、時間止まってる間に机に立ち上がって脱衣行為する村上さんはさすがにエキセントリックすぎて森谷さんはただ途方に暮れるばかり。 まず、スクールカーストの頂点である村上さんと一緒にいることで、森谷さんの成長していく姿とか物事の見方の変化が描かれる。 が、まあまあありがちなそんなパターンに留まらないのが本作だった。 村上さんの本当の姿が見えてくる展開がなかなかスリリング。なぜ村上さんは人に好かれるのか、いや、好かれようとするのか、そのために人知れず取っていた行動はモダンホラーだ!ベッドの下は見ないでって言ったじゃんか!見ちゃうよな(笑) ※以下ネタバレ成分を含有してるので長風呂注意 これを機に2人は本音をぶつけ合う。 みんなに好かれようとする生き方を。 誰とも関わらずに済ませようとする生き方を。 そのどっちもが「逃げてるだけじゃんか」と、熾烈なまでにディスり合う2人の姿はほとんど殴り合いだ!どっちも正しいからKOは見たくない、12ラウンドまで見ていたい!届け、わたしの聲の形!(違います) ※さらにネタバレ成分を含有以下同文 エゲツない言葉の応酬の末に、森谷さんが「好きだよ」と言う。 これなあ…こうやって文にすると、筆力のなさも手伝って、なんてことないように感じると思うけど、ほぼコペルニクス的展開だった(言いたいだけ)。 ぜんぶ分かったよと、手の内胸の内ぜんぶ分かったよと、手放しの「好きだよ」にグッときたんだ! それをきっかけにして、さっきまで罵っていた互いの生き方を肯定していく2人。 他人のため、世界のために努力を惜しまない村上さん。 他人に好かれるかどうかを行動原理にしない森谷さん。 多彩なアニメーション表現も駆使して、わずか59分の中に凝縮された、肯定し、共感し、認め合う物語。 森谷さんを卓球部に誘う小林さんがいいキャラクターだったから、そこ厚くして75分ぐらいでもよかったかもだけど、2人に絞ったのは正解なんだろうなあ。 え?百合好きなのかって? 最近のアニメなら上述の「あさがおと加瀬さん」、「マナリアフレンズ」「やがて君になる」「citrus」あたりが。漫画なら「わたしの拳をうけとめて!」「熱帯魚は雪に焦がれる」など、ガールズシップ以上ガチ百合未満あたりのが好きです。

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