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ディリリとパリの時間旅行 (2018)

DILILI A PARIS/DILILI IN PARIS

監督
ミッシェル・オスロ
  • みたいムービー 82
  • みたログ 125

3.83 / 評価:88件

高畑勲の遺したもの

  • ookina_haruko_chan さん
  • 2019年10月7日 3時28分
  • 閲覧数 748
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

この映画を観たのは夏の終わりで、だいぶ時間が経ってしまいました。
今日、高畑勲展の最終日に行ってきて、ふとこの作品を思い出したので、レビューを書くことにします。

ミッシェル・オスロ監督の作品は「キリクと魔女」しか観ていません。
それも、ずいぶん前にDVDを観ただけで、大画面で見たわけではないけれど、キリクはうつくしい作品でした。
民話的モチーフを使いながら、スケールを感じさせる。
数々の映画賞を受賞しフランスでは大ヒットしたようですが、日本ではすぐには公開されず、高畑勲監督の尽力により、日本で公開が決まったようです。
他にも、「王と鳥」など、日本では公開されづらい作品をジブリがプロデュースしてきたという実績があります。
高畑監督の審美眼と強い勧めがなければ、こうした作品は日本で公開されていなかったかもしれない。

海外のアニメを見ると、日本のアニメの世界がいかに偏っているのか、に気付かされます。
もちろん、コナンやワンピース、クレヨンしんちゃんなど、メジャー作品であってもよくできていて大人の鑑賞に耐えうるものもたくさんあるのもわかります。
でも芸術性や内容の濃さといった観点から見ると、まだまだ海外のよい作品が埋もれがちなところが多い。
芸術と娯楽を併せ持つジブリが主導して、アニメーションの未来へ向けて牽引してきたことは間違いなく、ジブリからの発信ということで、本作のような地味だけれど丁寧に作られた海外アニメを受け入れる土壌が培われたのだと思う。
(まだまだ都市部にのみ偏っているとは思うけれど)
「絵」を描けない高畑監督だけれど、うつくしい「絵」、そして「動き」としてのうつくしさというものを知り尽くしている。

とはいえ私も、うつくしいというだけでアニメを評価するつもりはありません。
高畑監督が関わった「レッド・タートル」は絵も動きもうつくしいしあれほどシンプルに作り上げるのは斬新だとは思ったけれど、内容がどうしても自分の心にフィットせず、おもしろさがわかりませんでした。

本作も、評価が二分するというのもわかります。
あの時代に「政治的正しさ」を求めることの不毛。
キリクがおとぎ話的ですっと心に入ってくるのに対し、本作はあまりに現実的で違和感を感じる人もいるかもしれない。
でもね・・・

ディリリのあのキャラクターに魅せられてしまった!!
パディントンばりの、移民だけれど「礼儀正しく」て、可愛らしい少女。
地下鉄のザジが男の子みたいにパリをかけ巡る物語も楽しいけれど、ディリリが優しさと上品さを崩さずに、時には勇気を持って冒険に挑んでいく姿には、うるっときてしまう。
上流階級の人びとのキラキラ感、逆にそうでない人たちのくすぶり感・・・でも最後には、差別意識を持つ運転手が改心する!
私は「月光仮面」において泥棒を改心させる月光仮面の愚直なまでに人を信じる心根に感動してしまうクチですが、この作品でもディリリの優しさと純粋さに改心させられる運転手の姿にきゅんとしてしまう。
もちろん、運転手が置かれている状況の厳しさ、差別意識の底には現実のつらさがあるのもわかる。
でもいい風が吹けば、いい風に流れることもあるんだってことを本作は気づかせてくれる。
多様性の大切さを、お説教くさくではなく、さりげなく教えてくれる。
ちなみに、パディントンも、エンタメにくるんで多様性を認めることを伝えていると思うんだけどね・・・
幼少時代をアフリカで過ごしたというオスロ監督は、ごくごく自然に多様性の感覚を身につけているんだと思う。
そういう感覚があれば、違いを受け入れられるし、争いは減っていくんじゃないかな・・・

高畑ファンと言えるほど作品を多く見ているわけではないけれど(「かぐや姫の物語」すら見てない・・・汗)、多種多様なアニメーションを公開できるような、そんな社会でありたいと思うのです。

詳細評価

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