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魔法少年☆ワイルドバージン
2019年12月6日公開

魔法少年☆ワイルドバージン

1032019年12月6日公開

映画の夢

3.0

ネタバレ愛ではない、欲望だ、股間だ

主演(前野朋哉)はてっきり蛭子能収氏の息子だと思っていたら、ちがうのね。しかし、蛭子氏の本当の息子と似ていること自体は、そこそこ評判ではあるようだ。 三十歳まで童貞でいると魔法使いになるという伝説通りに、しがない保険営業マンの主人公・星村は、目から光線を発射する超能力を得る……リアリティも物語の整合性も、きっと無視されるんだろうなと予想はしていたが、その通りに。 とはいえ、はちゃめちゃな外観とは異なり、物語自体はおそろしく古典的である。「負の要素を持った(仕事ができない、不細工、童貞)男がヒーローとなって、美女をゲットし、幸せな家庭を築いた。めでたしめでたし」という、たぶん人類が何億回何兆回と語ってきた物語が、またも語られているのである。 新しい部分は童貞に着目したところだろう。言うまでもなく、童貞は罪である。男が全員、童貞を守ったら人類は滅亡してしまう。 007『死ぬのは奴らだ』に、ジェームズ・ボンドとやっちゃって処女を喪失したため、未来予知の能力を失う女性キャラが出てくる(設定は二〇代半ばくらいか。演じるのはジェーン・シーモア、とってもきれい)。やはり、長いこと童貞や処女でいることは自然の流れに反することであり、だからこそ超自然的な力を持つ神秘的な存在になると考えられやすいのだろう。セックスはして当たり前だし、しなければならないのだが、人間はしないこと(禁欲)に価値を見出しても来た。聖母マリアは性交渉なしに妊娠したことになっていて、それがキリストの聖性(超自然性)を担保している。 さて、問題は映画のクライマックスである。星村の童貞仲間だった月野は童貞を卒業したものの、愛を信じられなくなり、妖怪マントヒヒと化した。檻に入れられたヒロイン・雪乃の前で、星村と月野は戦う。 もちろん星村が勝つのだが、彼は愛を主張したわけではない。いや、愛なんてどうでもいいのだ。星村は「雪乃とがんがんやりたい」と叫んだのだ。雪乃も「星村とがんがんやりたい」と叫んだ。 絶対性欲。股間こそすべて。愛は後づけ。 星村はただ、普通の人間になりたかったのだーー妖怪人間ベムがそう望んだように。童貞=ヒーローであることよりも、好きになった女とずっこんずっこんセックスして、ごく平凡な男になりたかっただけである。 伝説の童貞魔法使い・高橋(斎藤工)が見事に説明している。「自分の髪が白くなったのは、キン○マを放っておいたせいだ」。まったくだ。キン○マは使ってなんぼ、チ○コは使ってなんぼ、マ○コも使ってなんぼだ。 草食系の諸君、いくら気取っていたって、君たちはしょせんキリストではないのだ。君たちに聖性はない。使えるうちにチ○コを使いたまえーーそれこそが監督のメッセージである(たぶん)。 ほめているのか、けなしているのか、よくわからなくなって来たが、星三つということで御了承いただきたい。

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