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盗まれたカラヴァッジョ
2020年1月17日公開

盗まれたカラヴァッジョ

UNA STORIA SENZA NOME/THE STOLEN CARAVAGGIO

PG121102020年1月17日公開

Dr.Hawk

2.0

ネタバレ男を立てる女ふたり、未解決事件で暗躍する

2020.3.25 字幕 京都シネマ 2018年のイタリア映画 1969年に実際にあったカラヴァッジョの絵画「キリスト降誕」事件を基に作られたミステリー映画 監督&脚本はロベルト・アンドー 物語は人気脚本家のアレッサンドロ・ペス(アレッサンドロ・ガスマン)がプロデューサーのディエゴ・スパダフォラ(ガスターノ・ブルーノ)に新作の脚本の実筆状況を問い詰められるところから始まる アレッサンドロはゴーストライターであるヴァレリア(実佳えら、ラマッツオッティ)に「新作の執筆状況」を確認するものの目処は立っていない ある日、街で買い物をしていたヴァレリアに声をかけた老人がいた 彼の勧めるままに「カンパチ」を買って帰宅すると、母アマリア・ロベルティ(ラウラ・モランテ)との食事中に老人から電話が入った 「どこで電話番号を知ったのか?」と訊いても「君たちのことはすべて知っている」という 老人はアルベルト・ラック(レナート・カルペンティエリ)と名乗り、執筆のネタを提供しようと言い出すのだった 物語はラックの提供するネタをプロットに落とし込んで「最高傑作だ!」と称賛されるところから動き出す 即座に映画化の話も決まり、引退を撤回して巨匠イェジー・クンツェ(イェジー・スコリモフスキー)がメガホンを執るという そうして撮影が始まる中、ヴァレリアの脚本が「ある事件に酷似している」ことに気づく謎の男たちの陰謀が動き始めるのである ラックの語るネタはかつてカラヴァッジョの「キリスト降誕」という絵画が盗まれた詳細な経緯だった マフィアと政府関係者の裏取引に美術商が絡み殺されたという事件 そして絵画はいまだに見つかっていない ラックは映画を通じて「犯人たち」を炙り出そうと計画する そんな中マフィアと政府関係者たちは秘密の会合を開いて「有志による絵画の提供」の名目で裏取引をしようと目論むのである そして実際に何人かの逮捕者を作り出して事件が収拾したと見せかけようとするのである その事態を看破したラックはヴァレリアとアマリアの協力を得て会合の妨害に踏み切る アマリアのパートナーは現文化大臣アルトゥーロ・オノフリ(レナート・スカルパ)であり遠隔イヤホンで裏取引に待ったを掛けようとする それは半ば成功したものの会合現場にマフィアが侵入していることが発覚する ラックはヴァレリアとアマリアを安全な場所に逃して、自身の用を済まそうとする だがラックは何者かに狙われて命を落としてしまうのだった この映画は「ゴーストライターに脚本を書かせて犯人探しをしようとする物語」は実は映画であり、さらに「その映画を作っている映画」を観ているという三層構造となっている 言わば「称賛される脚本を描く自分を描いた映画」という映画が絶賛されるという展開で、その折にして父との再会を果たすという映画を観ているというのである ラックの物語の再現がモノクロになっていて、またゴーストライターの告白シーンもモノクロに変わっていくので映画内映画の始まりと終わりはわかりやすい だがそこをさらに捻って、実は冒頭からずっと映画だったのよという返しをしてくる そして「映画内で解決されたと思われる事件」は実は現実では「まだ捜査中」であることがエンドロールでわかるのである 現在「キリスト降臨」が展示されていたサン・ロレンツォ礼拝堂では「デジタルによる復元」が展示されていて、それを剥がすとエンドロールの映像となる そこでクローズアップされる「天使たち」の表情の不気味さはある意味ホラーであり、彼らだけが真実を知っていると告げているのである 初見では理解しきれなかったところ(前半は眠気に晒されたのもある)があるので配信などが始まれば再確認したい それでも何度も観直す映画でもないところが微妙ではある 自己満足は虚構で、さらにそれらを俯瞰した自己満足はさらに虚構でという構造は悪くはないのだが、この映画は実にわかりにくい ちなみに原題の『Una storia senza nome』は劇中脚本の作品名である いずれにせよ、この映画の原題が示すとおり「映画をつくる映画」だっとという訳である この構造を採用したのは未だ未解決事件である「キリスト降誕」にまつわる様々な憶測を映像化したに過ぎず、それらはすべて辻褄合ってもまだ未解決だからねと強調しているようにも思えた だからと言って「何?」レベルになってしまうのは、映画内映画の最重要ポイントである「ヴァレリアとラックの関係」と「ラックの生死」が前もって読めてしまう点であろう 「ですよね〜」と思ってしまうほどの予定調和 さすがにミステリーとして精巧かと言われれば「ボツ」と言わざるを得ないだろう

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