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上映中

Fukushima 50 (2019)

監督
若松節朗
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  • みたログ 3,541

4.22 / 評価:2983件

美談×プロパガンダで隠される問題の本質

  • Seven Garbage さん
  • 2020年12月29日 20時12分
  • 閲覧数 158
  • 役立ち度 13
    • 総合評価
    • ★★★★★

どうかHBO制作の”チェルノブイリ”を観てからこのカドカワ制作の駄作と比較して欲しい

まずこの映画にはなぜあの事故が起きたのか、どうすれば防げたのかという視点からの検証を一切欠いている。「東電、頑張った!英雄だ!」で話を単純化して済まそうとしている意思を感じるがそうはいかない。原子力保安院や東大東工大の御用学者と言った”原子力ムラ”の住人への言及がないのはなぜだろうか?

津波による非常電源の喪失は度々指摘されてきたのに対して、無視または握り潰してきたのは誰だったのか、また組織の構造に問題はなかったのかといった当たり前の視点がない。しかしそれも無理はない、なぜなら吉田所長が津波の危険性を過小評価した張本人の一人だったからだ。このように不都合な部分を隠して、個人を英雄化して描く映画をプロパガンダと言わずしてなんというだろうか

また、この怒鳴り合いと学芸会演技の応酬はなんなんだろう。邦画はいつまでこんなレベルで低徊し続けるのだろうか。なぜこんなに”安そう”なのか、この映画を見る事で他の傑作が傑作たりえる理由がおのずと見えてくる。問題の本質を描かずに、怒鳴り声やお涙頂戴の美談で誤魔化すのはもうやめにしないか

また、悪役である総理と本社幹部の描き方はまるで仮面ライダーかウルトラマンの世界だ。菅直人をはじめとした悪役の行動原理はとても表面的な描かれ方しかされない。チェルノブイリのディアトロフが見せたような功名心や体制への恐怖といった史実的かつ現実的な動機は描かれないのだ

最後のオリンピックへの繋げ方でも分かるように、読売新聞、産経新聞が名を連ねるこの映画の製作委員会が政治的意図を持って制作に臨んでいる事は火を見るより明らかだろう。原作者である門田隆将という雑誌編集者は超弩級の(ビジネス)右翼の急先鋒であり、Qアノンのトンデモ陰謀論をまき散らすそれはそれは信用に足る御仁である。それでも作品世界に引き込むだけの力があればいい。残念ながらこれは出来の悪い宗教プロパガンダ映画を観た後のような気分になるだけだった

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